「___おっせぇ」 「…はよっす出水先輩…むしろ早すぎるんすけど…」 俺なんて朝ごはん食べる間もなく母親に追い出されたというのに。母は出水先輩にデレデレで、出水先輩がインターホンを押したが最後、俺は学校行きを余儀なくされる。出水先輩が気分屋過ぎて時間も読めないし。 引っ掴んできた菓子パンを口にするが、やっぱり朝は白ご飯だな。 「たまには良いだろ?…あ、いーもん食ってんじゃん。一口よこせ」 ずいっと顔が寄せられたかと思うと、出水先輩はパクリと菓子パンを食べた。 「……、間接キス」 「っぐ!?、ごほっごほっ、…っ、けほっ、なんっ、き、気色悪いこと言ってんじゃねーよ!」 顔を真っ赤にして怒る出水先輩に何も言えなくなる。気色悪い、かー。なかなかキツイな。まあ、普通そういう反応だよな。同性の先輩と間接キスで喜ぶとか。ないよな、普通。あれ、苦しい。何だか腹までいっぱいな気分になって、持っていたままのパンを出水先輩に押し付ける。それにほら、俺が食べていい物じゃなくなったし。 「それ、あげます」 「はあ?……何怒ってんだよ」 「怒ってないっすよ、何か腹いっぱいで」 「、…嘘つけ…お前朝食ってねぇんだろ、パンぐらいちゃんと食えって」 菓子パンを俺の口元に押し付けようとする出水先輩を躱しながら、一緒に持ってきていた野菜ジュースを飲む。むくれている出水先輩を見て気づいた。 「あ、出水先輩もいらないんすか?なら俺捨てときます」 散々躱したその菓子パンに向かって手を差し出すと、何故か怖い顔をした出水先輩にその手を叩き落とされた。いったい。出水先輩どうしたんだ、生理?なんちゃって。 「もういい、ついて来んな」 その泣きそうに歪められた顔の真意が読めなくて、俺はただ立ち尽くすしか出来なかった。 to list |