opドフラミンゴ おくびょうもの




彼はとんでもない臆病者だった。


「ひいいいっ!わ、わかさま、たす、たすけっ」



だだっ広い豪奢な部屋の隅っこに、大の男がこれでもかというほど縮こまっている。足を折り畳み、頭を両手で庇い、ガタガタプルプルと震えている姿に、庇護欲が掻き立てられるどころか、苛立ってしまうのは、しょうがないことだろう。ドフラミンゴは、とりあえずいつも通りフッフッフッと笑ってみたが、苛立ちは増すばかりだ。自身の長い足をゆったり持ち上げて、未だ怯える男の頭を軽く踏む。



「あ、あああああ…っ!、ごめんな、さっ、ごめんなさいいい!、あああっ、ころさないでっ、ごめ、なさっ、ひいっ!」



足の甲で男の顔を持ち上げる。情けない声が聞こえたが、まあいい。ダラダラと流れている涙と鼻水、真っ青な顔、ガチガチと震え過ぎて歯が鳴っているその姿は、情けないどころではないのだし。ドフラミンゴが足を地に着け、しゃがむ。「ひぎっ」男の倍近くある体を折り曲げて、顔を近づける。「あああ…っ」いちいちうるせェ奴だ。



「わかさまっわかさま、たす、たすけて…っ」



蚊の鳴くような細い声も、この至近距離では聞こえない訳がなく。ドフラミンゴはむっすりと口をへの字にして、男の後頭部をガッチリと掴んだ。「ひいいっ」だからうるせェ。ああ、でもそうだな、今から黙らせてやるよ。有り難く思え。





ちゅうっ
「んむっ!!」

ちゅーーーーーーー
「んんんっ!ん゛ーー!!」



せっかく己の口をもってしてそのうるせェ口を塞いでやったのに、結局騒ぐ___に面倒臭くなって口を離す。ついでに頭を軽く叩いてやると、また悲鳴をあげて体を震わす。ドフラミンゴはへの字の口のまま、___の髪を掴んで自分を見るようにさせる。話は相手の目を見てシマショウってなァ。



「オイ、___」

「ひっ!ひゃ、ひゃい…っ」

「二度と、おれに怯えながら助けを求めんな」



相手に怯えながら助けを求める。それはつまり、近づかないでということだから、ドフラミンゴはその度に、腹に石でも詰められた気分になるのだ。テメェはおれのコイビトだろう。カクカクと必死に首を縦に振る___に顔を寄せて、また口付ける。にんまり。口角が上がるのを、感じた。


 
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