butler | ナノ




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「おはようございます」




カーテンの隙間から差し込む太陽の光が朝を知らせる。
いつもの時間に起きる朝。


でも違うのは
ここがいつものアパートではなくお城だという事。
そして一番に貴方の声が聞ける朝は私にとってとっても特別な朝。



彼が毎朝淹れてくれるモーニングティー。
いつも同じものかと思いきや、
天候や私の体調までを考慮してその日によって茶葉を選んでくれているのだそう。


きめ細やかな気配りは執事としてだと分かっていた。

でも私はその彼の優しさにいつも癒されて、
気づけば胸をときめかせ、




私は貴方に恋をしてしまった。




身分違いな恋だと分かっていても、
この気持ちは止められなかった。





『貴方の事が大好きです―――』










鼻腔をくすぐる紅茶の香り。
顔を上げると、ティーカップを優雅な手つきで差し出す貴方。

そして――



「おはよう。よく眠れましたか?」



『執事』としての顔を少し崩して寝起きの私の頬にキスをする。




甘い、甘いひととき。
出会った頃と変わってしまった私と「彼」との関係。




この城の執事である彼と想いが通じ合って恋人となった。


何度か諦めようとしたこの恋。
でもやっぱり私の中で貴方の存在が日に日に大きくなっていって。
いろんな事を乗り越えてこうして傍にいる事を許された。


貴方にとって特別な存在になれた事が嬉しくて、幸せで。

私ばかり幸せでいいのかな、と自問自答を繰り返す。


毎日主に一生懸命仕える執事の貴方。
そんな貴方をずっと支えていける存在でありたい。



「貴女が笑顔でいてくれたら、それだけで私は幸せなんです」



そう言ってくれた貴方のために、

いつも笑顔で、
貴方と一緒に、

辛い事も悲しい事も乗り越えて行けたら。
嬉しい事や楽しい事を一緒に分かち合えたら。



私だって貴方を幸せにしたいから。



『おはようございます。今日も一日頑張りましょうね』



今私が出来る事を頑張ろう。
貴方と出会ったこの国の事ももっともっと知りたいから。



この先もずっと貴方と一緒にいられますように―――






thank you for the 3rd Anniversary!!


2013.7.1 sara