butler | ナノ




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クロード×ヒロイン




「クロードさんっ!」

「やりませんよ」

「……まだ何も言ってないじゃないですか」

「その手に持っているものを見れば貴女がこれからやろうとしていることが一目瞭然です」

「……ダメ、ですか?」

「当たり前です…!明らかに色味からしてこの私にそれを持ってくることが間違ってます」

「あ、オレンジ……」

「安直ですね貴女も……ハロウィンだからオレンジですかかぼちゃですか」

「ハロウィンといえばかぼちゃ…ですよね?」

「かぼちゃの着ぐるみを持ってくるとは………いい度胸ですね」

「え…!あ、これクロードさんも着たかったですか!?」

「誰もそんなこと言ってないでしょう」

「そっか……クロードさんもかぼちゃにすればよかったかな…」

「貴女は人の話を聞いていますか?」

「クロードさんにはかぼちゃではなくこっちを着てほしくて……」

「これは……」

「……どうですか?クロードさんのイメージにぴったりだと思うんですけど」

「……吸血鬼………ですか」

「鋭い牙で生き血を吸う吸血鬼の冷たいイメージとかクロードさんぽくて……」

「あまり褒められてるとも思えませんが」

「とっ、とにかく!!着てみてくれませんか…?きっと似合うと思うんですっ!」

「……で、貴女は何の格好をなさるつもりで?」

「あ、だから私はこのかぼちゃを……」

「…………それは貴女のだったのですか……」

「え、駄目ですか…?」

「確かに、たとえかぼちゃであっても貴女なら可愛らしく着こなして………ゴホンッ、いえ、……それより」

「……はい?」

「私が吸血鬼なら……貴女はこちらの方が似合うかと」

「わっ…!クロードさんいつのまに!!どこから出してきたんですか!?」

「私の特技をお忘れですか」

「手品にまた磨きをかけたんですね……わ、綺麗なドレス!……鮮やかな赤で素敵だけど私に着こなせるかな……」

「吸血鬼への生贄になるにはふさわしい色だと思いますが?」

「生贄……私、クロードさんの生贄になるんですか?」

「私が吸血鬼になるのであればそうなりますね」

「生贄じゃなくて……」

「え?」

「……ずっとずっとクロードさんの傍にいることは出来ますか?」

「……」

「クロード…さん?……きゃっ、」

「……二度と離れる事がないよう、その白い首筋に私の所有の証を付けても?」

「え、あっ…、」

「まぁ…貴女に拒否権はないのですが」

「……っ、クロードさん……!まだ着替えてないのに……!」

「真紅のドレスを纏わなくても貴女の魅力にはいつも誘惑されてしまうのですよ」

「クロードさん……今日はなんだか素直……」

「何か言いましたか?」

「…いえっ!………嬉しい、です…でも…」

「でも?」

「私、の前だけにしてくださいね…?」

「当たり前です」




――悪戯をするのは貴女にだけ、ですよ?



illust by ねこぴん様


Happy Halloween !