butler | ナノ




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――驚くだろうか。




ジョシュア様の長期間の公務に付き添い、今週末までは帰城出来る予定ではなかった。
が、先方のキャンセルにより予定が大幅にずれ込み、今俺はドレスヴァン城へと向かう車の中にいる。

急な予定変更、そして深夜遅い事もあり、彼女にそのことを伝えないままでいた。


「朝、俺がいたら驚くかな……」


きっと今ごろ夢の中だろう。
その夢の中に俺も棲まわせて貰えているのか、なんて思うのはやはり離れている時間が長すぎて欲が出てきたのか。



早く会いたい。
この腕で抱きしめたい。
彼女のぬくもりを、香りを。



明日の朝は彼女の好きなブレンドの紅茶を用意しよう。


“ジャンさんの淹れてくれる紅茶は優しい味がして大好きです”


いつも言ってくれるその言葉を、明日の朝久しぶりに聞かせてくれるだろうか。
会えなかった日々が、俺の中で彼女の存在が大半を占めている事に気づかされた。



ずっと傍にいたい、いて欲しいと思える相手が出来るなんて―。



目覚めた時の彼女の驚く顔を思い浮かべながら、自然と頬が緩んでしまうのだった。




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