butler | ナノ
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「すごい……さすが王室のハロウィンパーティー……」
カジュアルなパーティーとはいえ、さすが上流階級の人たちの仮装は上品で煌びやかだ。
ゲストたちは思い思いの衣装を纏い楽しんでいるが、そんな人たちを目の当たりにするとやっぱり庶民である自分の衣装は見劣りしてしまう。
そんな私がリーベン家主催のパーティーに参加してもいいのか……と、どうしてもマイナスな思考がぐるぐる頭をかけめぐってしまう。
「だめだめっ、せっかく招待して下さったんだから楽しまないと」
ひょんな事からおにぎり要員としてジョシュア様に気に入られた私は、何度かこのドレスヴァンを訪れるようになり、今日のハロウィンパーティーにもこうしてお誘いいただいたのだ。
とはいえ、ジョシュア様はゲストの方々へのご挨拶で忙しく、息つく間もなく代わる代わる歓談されている。
それはジャンさんも同じで、パーティー会場までエスコートしていただいた後は私のもとを離れ、忙しそうにあちこちへと足を運んでいた。
そんな中でも、時折私の様子を気にしてくれていて、ちらりと目線が合う。
その時にすまなさそうにするジャンさんの気遣いはいつもと変わりなく優しいのだ。
ひとり、私は窓際の隅でシャンパンを味わいながらぼんやりと眺める。
そんな時でもどうしても目がジャンさんの姿を探してしまうのだ。
その彷徨う視線が留まった先、ジャンさんと談笑している紳士の傍にはその方のご令嬢だろうか、かわいらしい仮装をした女性の姿が。
私よりもいくつか年下に見えるけど、やはり品の良さがそれだけで立派なレディにみえた。
気のせいか、その女性がジャンさんに向ける眼差しはなんていうか…キラキラしていて、まるで恋をしているかのようにも見えて…
彼女だけでなく、ジャンさんが颯爽と行き交う姿に熱い視線を送る女性はこの会場に何人かいた。
(かっこいいもんね……ジャンさん…)
ついついそういう視線を見つけてしまうのは自分自身が無意識のうちにジャンさんの姿を追っているからなんだろう。
王室に仕える誰から見ても完璧でスマートな執事さん。
そんな彼に憧れる女性も多い筈。
急に自分がちっぽけに思えてきて、なんとなくここに居辛くなった私はパーティー会場をそっと抜け出した。
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