butler | ナノ




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「……それで、何故狼の耳なんですか」
「いえ……クロードさんってなんとなく狼っぽいかな……と」
「……意味が解りませんが」


ベッドに腰掛け、クロードさんは渡された狼の耳を手に取りまじまじと眺める。
早く早く、とはやる気持ちをおさえながら私は待つ。
私のすがるような視線を感じたのか、漸く諦めたクロードさんが私の用意した狼の耳がついたカチューシャを頭につけた。


「これで満足でしょうか?」
「……!!」


気難しい表情のままカチューシャをつけたクロードさん。
その姿とその表情のギャップが堪らなく、心の中で身悶えた。


「似合います……か、可愛い……」
「その褒め言葉はあまり嬉しくありませんね……」
「どうしてですか?」
「男が可愛いなどと……、特に恋人に可愛い、とは言われたくありません」


クロードさんの指先が私の頬をなでる。


「むしろ可愛いのは……」
「え……?」



その時、背後に回ったクロードさんが私をぎゅっと抱きしめてきた。
背中から伝わるクロードさんの熱とがっしりとした体に包まれて、私の鼓動はこれ以上ないくらい早くなった。


「ク、ロードさん……?」
「……どうやら私は魔女の魔法にかかり狼人間になってしまったようです」
「え……?」


(クロードさん、意外とこの状況を楽しんでる?)


冗談とも本気ともつかないクロードさんに戸惑い狼狽するのは私だけで。
クロードさんが喋るたび、首筋にかかる吐息が甘くてぞくぞくする。
クロードさんの腕の中から少し逃れようとすると、そうさせまいときつく抱きしめられた。


「狙った獲物は逃しません。何せ私は今、狼人間ですからね」
「え…?あ、きゃっ!」


ゾクリとする物言いに本当に狼人間に囚われたかと思うくらいに、クロードさんは妖艶な雰囲気をまとい私を翻弄し始めた。

首筋にひんやりとしたクロードさんの唇が押し当てられる。


「んっ……、んぁ……」


冷たいと思ったのも一瞬で、すぐに温かいものが首筋を這う。


「ぁ……あっ……はぁっ……ん」
「首筋に牙を立て血を吸うのは吸血鬼でしたね……では、私は獣らしく貴女の隅々まで味わうとしましょうか」
「えっ……、ぁっ…ん!」


ちゅ、とキスを落としながら首筋を舐められ、そのまま耳朶にたどり着いたらかぷっと咥え吸い付いた。


「ぁっ…!クロー、ドさん……っ!」



ぞくぞく、と駆け上がってくる快感。
ここが弱い事を分かっているクロードさんの舌が奥まで侵入してぐるりと舐め、味わい尽くす。
腰に回されたクロードさんの腕をぎゅっと握りその快感に耐える。


「美味しいですよ……どこもかしこも」
「ゃ……ん、クロードさん……なんだかいつもと違う……っ、」


いつの間にか解かれたマントははらりと床に落ち、その下には魔女をイメージして用意したドレス。
その後ろにあるファスナーをクロードさんが器用に咥えて下ろし始めた。


「ひゃぁっ……っ!」


狼の耳が、クロードさんの前髪が、形のいい唇が晒された背中に触れていく。
それだけで全身が粟立つのを感じる。


「ふぁ…っん……ぁ、」
「ほら……やはり可愛いのは○○○、貴女ですよ」


肌を露わにさせた場所からキスで触れていく。
獣のような強引さの中にも見え隠れするいつものクロードさんの優しさ。
それだけは変わらなく、後ろのクロードさんを振り向けばやはり甘く優しいキスで塞がれた。
何度も、何度も。


「んっ……は、ぁ…クロードさん……」
「○○○……」
「狼人間になってもクロードさんは優しい……です……」
「そのような事……。ですが、そんなに余裕を見せていられるのも今のうちですよ」


ふわり、と抱きかかえられたかと思えばあっという間に下されたのは柔らかなシーツの上。
はずみで三角帽子が落ちてしまうのも構わず目の前に迫るクロードさんを見上げる。
獣の耳があるだけなのに、その瞳が熱っぽくて色香をまとっている。
そんな瞳で見つめられるだけで体が熱くなっていく。

帽子でぺしゃんとなってしまったその髪をゆっくりとクロードさんは撫でていく。
そして――――


「トリック・オア・トリート」
「……えっ?」
「お持ちでないのなら仕方ありませんね、」
「えっ、ちょっ……クロードさ…っ、」


返事をする間もなく、その後は唇で塞がれた。
窓から差し込む月の光が二人の影を一つにして、妖しく照らしていた―――




illust by ねこぴん様


20131031
…………………………

11/17追記
ねこぴんちゃんがお話の中の狼耳クロードさんを描いてくれました///
ファスナーが紐仕様なのは個人的理由だそう(笑)
でも紐の方がエロスな感じがするよね(*´ρ`)←

ねこぴんちゃん、素敵なクロードさんをありがとう!!
(*´з`)





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