butler | ナノ
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「ひざを少し擦りむいていますね。…足首は……今のところ腫れもないか……。痛くはないですか?」
少しだけ擦りむいた膝を消毒して絆創膏を貼り、捻ったあたりの足首を擦りながらアルベルトさんが私の方へ顔を上げる。
「はい、大丈夫です」
部屋まで運ばれてソファーに下され、救急箱を持ってきたアルベルトさんが私の前に跪く。
大した擦り傷じゃないのに重傷の怪我人のように扱われ、なんだか申し訳なかった。
「アルベルトさん、ごめんなさい…」
「…○○○………?どうして○○○が謝るのですか?」
「だって、せっかくのアルベルトさんの貴重な時間を……ジョギングの邪魔をしちゃって…」
「○○○」
救急箱をしまい終えたアルベルトさんが膝立ちのままソファーに手をつき、私を正面から見つめる。
目線がほぼ同じ高さにあり、アルベルトさんの瞳に私が映っているのがハッキリと分かる。
「嬉しかったですよ」
「え……」
「いつもは一人で黙々と走るだけだったのが、今日は○○○が一緒で。それだけでいつものジョギングコースが全く別の道に感じられました」
大きな掌がそっと頬を包む。
「アルベルトさん……」
「少しずつ慣れていけばいいんですよ。私も○○○と走るのは楽しかったです。
……○○○さえ良かったらまたご一緒してもらえますか?」
「…はい!もちろんです…!私もまたアルベルトさんと一緒に……」
言葉の最後はアルベルトさんの唇に塞がれて。
甘く優しいキスにゆっくりと瞼を閉じ、アルベルトさんの熱を受け止める。
ちゅ、と音を立てゆっくりと離れていくアルベルトさんの唇を目で追い、視線を絡ませる。
熱っぽいアルベルトさんの瞳がフッと和らいで、
「走って汗をかいてしまいましたし、シャワーをして着替えましょうか」
「はい……って、ひゃあっ!」
返事が終わらないうちにアルベルトさんが私を抱きかかえて。
「ア、アルベルトさん!!私一人で歩けますから…!!」
「怪我は大したことなくても、足首を捻っているかもしれないでしょう?今夜はあまり動かさない方がいいかと」
アルベルトさんの顔をふと見れば。
少し意地悪気に微笑み、それに……。
「アルベルトさん…なんか楽しそう……」
「それは楽しいですよ。こうして○○○と一緒に過ごすことが出来るんですから。せっかくなので私の要望を叶えてもらいましょうか」
「……何、ですか?」
「一緒に入りましょう」
「え…!!い、一緒にですかっ!?」
「○○○は嫌なのですか」
「い、嫌とかそんなんじゃなく…っ、だって、いきなり恥ずかしいです…!」
「何をいまさら……、」
ふう、と溜息をつきながらも私を軽々と抱きかかえるアルベルトさんは有無を言わさずバスルームへ。
(アルベルトさん、本気なのか冗談なのか……うう、分からない……)
唐突な展開について行けず、ひとりアルベルトさんの腕の中で悶々とする。
すると、
「……今日は○○○と片時も離れたくない……いいですか?」
耳元で囁くように言われればきゅっと胸を締め付けられて。
真っ赤な顔を俯かせたまま、こくりと首を縦に振った。
20120508
…………………………
お友達の椿さんへバースデープレゼント!!
椿さん最愛アルを書かせて頂きました^^
こんなアルで良かったら受け取ってくださーいっ!
改めてお誕生日おめでとう!大好き!!
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