butler | ナノ




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雨音が再び大きくなっていく。
窓を打ちつける度、窓枠がカタカタと震える。
今夜はずっとこんな天気が続くのだろう。

今夜も○○○は怖さを誤魔化すように次から次へと他愛もない話を繰り広げる。
でも、そんな彼女の話を聞くのは嫌ではない。
なかなか二人で会えない分、○○○が普段どう過ごしているのか自分の知らない部分を知る事が出来るからだ。



再び地鳴りのように響く重低音。
と、同時に私の腕を掴む○○○の手に力が込められる。
「大丈夫です」、そう言いながら抱いている肩をさすり続けるも、徐々に体がかたくなっていくのが分かる。


カッと昼間のように光る稲妻。
そしてゴロゴロと近づく雷の音。


「や、だ……っ!」


○○○が怯えてしがみつき、空いている手で片耳だけでもと塞ぐ。

じりじりとやって来る重低音。

やがて、
お腹の底に響くような大きな音を立てて容赦なく耳をつんざく。
どこかに落ちた、そんな大きな音。


でも、
その前に私は、


○○○の唇を自分のそれで塞いでいた。


「…っ?!」


暗闇ではっきりと○○○の顔が見れなくても。
記憶する自分の唇が○○○の唇の場所を間違う訳もなく。
1ミリの隙間もなくぴったりと口づける。

○○○の強張った体が少しずつ、少しずつ解けていく。



「ふっ………ん、」


未だ鳴り続ける雷。合間に光る稲妻。

止まない雷と共にキスを送ることも止めない。
○○○の不安を全て取り除くかのように、深く深く探るように何度も○○○に唇を寄せる。

○○○の体の力が完全に抜け、私にその身を預けるように胸元にもたれかかる。
ナイトドレスに身を包んだ○○○の柔らかさがダイレクトに伝わり、こんな時に不謹慎ながらも違う熱を纏い始める自分の体。



暗闇の中、再び静寂が訪れる。
雨音は少し落ち着いたようだった。
ようやくそこで私は唇を離す。

真っ赤な上気した顔、肩で息をする○○○。


「……今度からは、雷が鳴れば今のキスを思い出しなさい」
「……え?」
「……そうすればきっと、怖いどころではなくなるかも知れませんね」
「ク、ロードさんっ!」


少し含みを持たせて笑いかければ。
真っ赤な顔をしたまま怒ったような顔を向ける○○○はいつもの○○○に戻っていた。



「どんな時でも、貴女の不安はすべて受け止めます」


――貴女がいつでも笑顔でいられるように。






20120326
…………………………

執事シチュエーションをプレイして、あの選択肢でのクロードさんにやられまして、勢いで書いてしまいましたww

あのシーンのクロードさんはなんだか可愛かったです♪




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