6月






《音》 6/1-6/2
どうにも違和感が拭えない。確かに同じ筈だったのにどこを起点におかしくなったのか、微妙に合わない気がする。その証拠に、彼女が余り楽しくなさそうで。はっきりとした原因が掴めぬまま、曲も終盤になっていて。その時一際調子の外れた一音が。そこかと皆の視線が向けられた。 (紡主&デューカス)

《求める》 6/2-6/3
弱きものが生き残るのは難しく、誰もがそれを嘆きながら結局はそれを許容する。そんな誰かに嫌悪を抱きながら、ある日彼等と自分が何も変わらないと気付いて愕然とした。でも、気付いたからにはそうでない自分で在りたくて誰でもない自分になろうと決意したんだ。 (紡主)

《青》 6/3-6/4
視線の端を掠める何かに顔を上げれば、風に乗って翻る長布。「わーい、こっちーだよーっ♪」それを手に笑う彼女の姿に笑みが漏れる。が、その台詞の意味を捉えかねて首を傾げた。と、「ちょっ、お願いだから返して!」傍らをすり抜け走り去る背中に、益々笑みが深まる。 (メアメイ&紡主&名もなき人)

《癒し》 6/4-6/5
死に安らぎを求める者にとって、所詮その行為は歓迎されないものだろう。何もかもが欺瞞と罵られても、この手を止める訳にはいかないのです。私は医療を施す者として、助けられる命を見捨てる事なんて出来ない。それをした瞬間、私は人を助ける資格を失ってしまうのですから。 (イリア)

《時間》 6/5-6/6
葬り去られた過去、語られぬ歴史。それは意図的に隠された宝玉。本来生きとしいける者が各々抱えて行くべき筈のものを、彼はいとも容易く取り上げ、消し去ってしまった。人から思考を取ったら何が残るの?その問いかけに、彼は平和とそう答えた。でもそれは所詮仮初だよ。 (ゼフォン&レネフェリアス)

《名残》 6/6-6/7
人のいなくなった本拠地の中を進む。その足取りは何かを確かめるかのようにゆっくりと、そこここに残滓となって残っている思い出を拾い、集めるかのように。懐かしい、というには余りにも近い、だが二度と再現する事は叶わないだろう記憶。だからこそ、己の中に刻んでおこう。 (紡主)

《繋ぐ》 6/7-6/8
命が続いていく限り、皆が誰かと共に在るんだよ。それは目に見えない確かな絆。でも残念、ボクにはそれが無いんだ。唯一同じだった彼の手を離したその時から、ボクはたった独りになったんだ。後悔なんてしてないよ。それがボクのしたい事だったんだから。でももし叶うなら… (ゼフォン)

《花》 6/8-6/9
視界を埋め尽くす色に、感嘆の溜息が漏れる。過去を改変し作り出した光景は、僅かな後悔すら押し流してしまうほどに色鮮やかに輝いている。でも、どんなに素晴らしい景色でも、やっぱり君には叶わないんだね…。彼の視線、その中心には花々に囲まれて楽しげに笑う少女の姿が。 (主リュセ)

《朱》 6/9-6/10
痛みも悲しみも憎しみも飲み込んで堪え忍び。解き放った時の勢いは凄まじく。誰にも止められない、そう思っていた。だがそれは一人の信念に打ち砕かれ、その仲間達によって瓦解した。憎む事で強くなった我々と、憎しみに負けないよう強くなった彼。その時点で勝敗は見えていた。 (ザヴィド)

《世界》 6/10-6/11
もしここが世界のほんの一部だって知ったら、キミはどうするのかな?もっと大きな世界を見たいと思うのかな、それとも小さな箱庭を守る彼のように、今あるものだけで満足してしまうのかな。まあ、今の外は危なくて出られたものじゃないけどね。時期がきたら、どうするのかな? (ゼフォン)

《無》 6/11-6/12
本当はある筈の出来事を無かった事にするという行為は、どれ程のリスクを背負っているのか、あの時はそんなに深くなんて考えていなかったけれど今になって漸く分かった。息絶えた彼等は、本当は分かり合えた筈の人達で。それを嘆く資格は無い。それでも進むと決めたから、僕は… (紡主)

《恋》 6/12-6/13
今思うと、貴方の瞳に私は映ってすらいなかったのですね。いえ、本当は気付いていたのに、私はその事実から目を逸らしていたのかも知れません。貴方の瞳には何が映っていたのか、私はとうとう知る事が出来ませんでした。それでも、それでも私は貴方の傍にいたかったのです。 (アストリッド)

《零れる》 6/13-6/14
どうか優しくしないで下さい。貴方に縋ってしまったら、折角押し込めた感情が溢れ、自分では止められなくなってしまいそうだから。そうなったら私は自分を許せないと思うから。きつく唇を噛み、鬩ぎあう感情を抑えようとする姿は痛々しく、血の涙を流しているように見えた。 (イリア)

《一番》 6/14-6/15
誰よりも優れていたいと思う向上心は、時に成長の妨げになるとは思ってもいなかった。でもどんなに頑張ったところで、自分には彼ほどの戦闘センスも、己の姉ほどの魔力もなかった。それに気付いて漸く自分の進むべき道が見えたのだ。掲げた魔石の出来に満足気な笑みが漏れる。 (ジーノ)

《誓い》 6/15-6/16
私は貴方の手足となり、目となり耳となる。世界を隈なく歩き、見たもの感じたもの全てを貴方に伝えます。貴方と共に生きて行く意味を、この胸に刻みます。私は剣。私は盾。貴方の理想の妨げとなるものを排除し、貴方に降り掛かる全てを退けて。必ずや貴方の力になりましょう。 (アストリッド)

《涙》 6/16-6/17
瞳から溢れたその雫は日の光を受けキラキラと輝いていて。僕はその光に呑まれたかのように、ただそこに佇んでいた。何と綺麗で汚れの無い光だろうか。ずっと見ていたいと思ったが、それは彼女の悲しみの象徴であり。新たに零れた宝玉をそっと拭いながら、視線を離せないでいた。 (主リュセ)

《闇》 6/17-6/18
彼は人に絶望したが故に光から目を逸らし、全てを『変えない』選択をした。人によって滅ぼされるなら、その前に芽を摘み取れば良い。それは強ち間違いではなく、世界は確かに続いていて。それが彼の唯一の願い。だがそんな彼の前に現れたのは、目を逸らす事を許さない、眩い光。 (レネフェリアス)

《朝日》 6/18-6/19
長い長い夜が明け、世界は漸く目を開ける。導きの光は始まりの地へ向かい、そこを起点に溢れた光が世界の全てを明るく照らした。おはよう世界。随分ゆっくり休んでいたみたいだね。そろそろ目を醒まして動き出さない?ほら聞こえるだろう、皆の歓声が。目覚めを言祝ぐその声が。 (ゼフォン&???)

《夕日》 6/19-6/20
水辺に立つ二つの影。その表情はどこまでも広がる水面のように穏やかで。不意に己の左手に触れた温もりに、少女は驚き隣を振り仰いだ。と、静かな光を湛えた蒼に少女の頬が僅かに染まり、青年は笑みを深めた。そんな二人の姿を隠すかのように、この日最後の日が沈む。 (主リュセ)

《響く》 6/20-6/21
知識も経験も全然足りないキミの言葉は時に幼稚で、理想ばかりの所詮は奇麗事に聞こえる。でも不思議だよね、皆はそれでもキミの傍に在るんだ。ねえ、知っているかい?キミの言葉は遠い昔に捨ててしまった希望のようにボク達の、ボクの心に直接語りかけ、魂を揺さぶるんだ。 (ゼフォン)

《傷》 6/21-6/22
母親が死んで家族と呼べる人達はいたけど、僕は独りだった。それは誰にも言えず、でも僕の中にずっとあった。でも本来なら有り得ない邂逅を果たしたあの日、僕は気付いた。例え目に見えなくても、ご先祖様から僕に至るまで繋がっている絆が確かにあって。僕は独りじゃないんだ。 (紡主)

《消える》 6/22-6/23
あの戦いの中、何度後悔に打ちひしがれただろう。英雄などと言われても所詮は人の身、全てを救い上げるなんて不可能で。自分の力の無さを悔いた。でも何の因果か俺の前に現れた、俺の子孫だという彼。俺がいてその先に彼がいるんだと知って、生きて来た意味を知った気がした。 (トルワド)

《風》 6/23-6/24
海原に漕ぎ出した帆船は風を受け止め滑るように前へと進む。甲板に居る人々の表情は皆明るく、この先に待っている新たな冒険の予感に想いを馳せている。吸い込んだ空気はまるで知らない味がするようで。これから起こる事全てが大切な宝物になるだろう予感に、笑みを浮かべた。 (紡主)

《病》 6/24-6/25
毒樹を切り倒した先に人々の幸福が広がっていると信じて進んだ。後ろを見る事はしなかったし、する必要も無かった。だから気付かない、己の通った後に転がる人々の死体に。それに気付いてしまえば後悔だけ。何故こんなにも愚かだったのか。まるで熱に冒されたかのように。 (ザヴィド)

《旅路》 6/25-6/26
道行は険しくて、何度も諦めが頭を擡げた。でもその度に己を叱咤し、歯を食いしばって必死に前へと進んだ。僕は強いって皆言うけれど、本当はそうじゃないって誰より自分でよく知っている。僕はただ皆の笑顔を失うのが恐かったんだ。守れなくて後悔するのだけは嫌だったんだ。 (紡主)

《酒》 6/26-6/27
程よい酩酊感は心地良く。ストレスの解消にも一役買っていて、更には己の解放にも繋がっていた。あくまでも必要なのは適量。度が過ぎれば、それは忽ちの内に崩壊する。目の前の光景のように。あからさまに立ち入るのを躊躇う惨状に、即座に踵を返したのは賢い選択といえよう。 (ゼフォン)

《炎》 6/27-6/28
熱のこもった眼差しに、無意識の内に身を引いた。その根底には得体の知れない恐怖があった。自分の中に沸き起こるそれに知らず身体が震える。そんな己の様子に彼は一瞬目を見張り、次いで僅かに笑う。それが何だか傷付いているようにも見えて、思わず「ごめんなさい」と呟いた。 (主リュセ)

《あつい》 6/28-6/29
湧き上がる憎しみに身が焼かれるような痛み。それは己の中に燻り続ける感情。母親の仇に対する憎しみは、一人になると音も無くやって来て復讐を誘う。でも、もし感情のままに剣を振るってしまったら、自分でいられないと分かっているから。彼はこうして一人痛みに耐えるのだ。 (紡主)

《楽器》 6/29-6/30
紡がれる音は命の輝き、確かに彼が生きていたという証。手に出来たのは幸運で、彼がここで息絶えなければ手に入らなかったかも知れなくて。でも、手離しで喜べないのは彼が孤独な最期を遂げたから。もし叶うなら、彼の最期がもっと穏やかであったら…そんな思いが沸き起こる。 (紡主)

《羽》 6/30-7/1
彼は己の仕事に人一倍の情熱を持って打ち込んでいた。至高の矢を作る為には自らの身を削る事すら厭わずに。そうして完成した一矢は見栄えも性能も素晴らしく、確実に己の助けとなっていて。でも…矢羽を撫でながら思わず漏れた溜息。艶やかなそれを惜しいと思う自分もいるのだ。 (リュセリ&オウヤー)










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