5月






《夜》 5/1-5/2
闇をさ迷う内に辿り着いた場所。そこはやけに明るくて五月蝿くて。それが煩わしいと思っていたのに、いつからか自分の居場所、帰る家になっていた。不思議な事もあるものだ。昔は彼の元に戻る事はあっても帰るとは思いもしなかったのに。幸せなのかもね、なんて言わないけどね。 (ゼフォン)

《百年》 5/2-5/3
永の時は、彼を蝕み歪めていった。彼が結界を張った時点でそれは必然だったのかもしれない。それでも血の涙を流しながら周りも自分も追い詰める君の姿は痛々しくて見ていられなかったんだ。ねえ、ボクはずっと君の傍にいたけれど、もしかしたら本当の君はそこに居なかったの? (ゼフォン)

《嫉妬》 5/3-5/4
たまたま通りかかった所に二人が居た、ただそれだけ。仲間と一緒に居るのは不自然でもないのに、何故か心に漣が生まれた。理由なんて分からない。勝手に自己主張する心臓を押さえて蹲る。不意に飛び込んできた蒼に顔を上げれば、こちらを見つめる眼差しに心臓が強く、跳ねた。 (リュセリ)

《影》 5/4-5/5
種族の垣根など飛び越えて互いを認め合う姿は、何と良いものだろう。諍いもこうしてすぐに笑いに変わる。宿星という繋がり以上に強い結び付きを感じる。脳裏にふと浮かんでくる人。彼は今も独り蹲っているのだろうか。せめて傍にいる彼等が少しでも彼の救いであれば良いのに。 (ゼフォン)

《晴れ》 5/5-5/6
真っ直ぐな眼差し。その瞳の輝きは久しぶりに顔を出した太陽の様に眩しく、私の中の淀んだものを吹き払ってくれた。こんなに清々しい気持ちになったのは初めてで。差し出された手を一も二も無く取っていた。でもどうしてだろう。嬉しそうなその笑顔に心臓が俄かに騒ぎ出した。 (リュセリ)

《曇り》 5/6-5/7
必死に自分の心を守ろうとする少女は、まるで小さく硬い石のようで。こちらを警戒する彼女の姿が何故かとても痛々しく見えた。だから、心からの笑顔が見られてとても嬉しかったんだ。そして、それが彼女の本質なんだと気付いた。それは雲の切れ間から降り注ぐ光のような笑顔。 (紡主)

《雨》 5/7-5/8
何もしないでいる時間程無駄なものは無いよね。聞こえて来た声に視線を落とせば、服が汚れるのも構わずにしゃがみ込み、ぼんやりと雨を眺める姿が。その様子から、別に答えを求めてはいないようで。雨ってさ、空が泣いてるみたいだよね。そう言った彼の方が泣きそうに見えた。 (紡主&ゼフォン)

《星》 5/8-5/9
空の彼方で瞬く星が、突然目の前に降って来た。それはやっと見つけた最初の、そして一番大事な輝き。その証拠に、強い光に照らされて周りの星々も輝き出す。これで漸く全ては動き出すんだ。これからを想像して、心が俄かに騒ぎ出した。初めまして天の魁、僕は貴方を待っていた! (ゼフォン)

《約束》 5/9-5/10
花を見たいと言う貴方に、外に出る度様々な花や種を持ち帰ったのはいつの事だったでしょうか。様々な種の花が咲く小さな花畑を前に、こんな風に世界が一つになればいい。そう呟く貴方の姿を、今でもはっきりと覚えています。忘れられない思い出。私はそれを胸に生きるのです。 (レネアス)

《尽くす》 5/10-5/11
力の限り戦って皆を守れたら、死んでも悔いは無いかな?そんな冗談交じりの一言に君は目を見開き、次いでその瞳が潤みだす。すぐにそれは透明な雫となって零れ落ちた。ああ駄目だ、どうして残して逝けるだろう。頬を伝う雫を優しく拭いながら、その耳元でごめんねと囁いた。 (主リュセ)

《視線》 5/11-5/12
向けられるのは好奇の眼差し。己が朱キ斧の元幹部だと知っている筈なのに、その視線には驚くほど悪感情がこもっていない。暢気なものだと呆れ混じりに溜息を吐けば、それに気付いて顔を上げるのは軍の旗頭。彼の視線を受け止めながら、頭がこれでは仕方が無いかと結論付けた。 (ザヴィド)

《嘘》 5/12-5/13
戦いが終わったら、皆で外の世界に行こう。青年は、瞳を輝かせながら未来への展望を語る。そんな彼に軍師はいつも通りの鉄面皮で頷きを返す。だが心の中で謝罪しながら。彼の思い描く未来に己はいても、己の向かう未来に彼はいない。傍らにあるのは、己の養い児だけなのだから。 (レギウス&紡主)

《温度》 5/13-5/14
触れた手の冷たさに驚いて離れた右手は、左手を伴って再び伸びて来た。優しく包み込んでくる温もりに、普段の気丈さはどこへやら、まるで少女のようにはにかむ彼女に、己の中で生まれたほのかな熱。だが、それはあってはならぬのだと言い聞かせて、それに気付かぬ振りをした。 (レネアス)

《ただいま》 5/14-5/15
悪意をぶつけられるのは初めてではない。人それぞれ考えが違うとも知っている。でも頭では分かっていても、心は痛むもの。皆には気付かれないようにしたが心は暗く沈んでいて。でも門の傍に立つ君がこちらに気付いて笑ってくれた。それだけで、驚く程心は軽くなったんだ。 (主リュセ)

《おかえり》 5/15-5/16
外へ出ていた一団の帰還。最後尾にいた彼に目立った外傷は無いようで、ほっと胸を撫で下ろす。が、何故か違和感を覚えた。いつもと様子が違うように見えたのだ。その時、不意に顔を上げた彼が己を見止めて笑う。その顔が何だか泣いているように見えて、堪らず駆け出した。 (主リュセ)

《欲》 5/16-5/17
僕だって男なんだよ。不意に変わった雰囲気と眼差しに、背筋が震える。まるで知らない人みたいで無意識に後じさるも、あっという間につめられる距離。と、肩口に頭を乗せられ、身体が驚く程跳ねる。ごめん、でもお願いだから逃げないで。縋るような声に涙が込み上げてきた。 (主リュセ)

《罰》 5/17-5/18
また一つ、存在した筈の命を歴史の中から弾き出し、その存在ごと葬り去る。消えゆく命に惜しむ心はとっくに捨て去ってしまったから、悼む気持ちも湧いて来ない。不意にたった一人の友の姿を思い出す。いつかこの命が潰える事があっても、己は彼と同じ場所には逝けないのだろう。 (レネフェリアス)

《歩く》 5/18-5/19
流れ続ける時に、気を抜けばあっという間に置いて行かれてしまう。取り残されるのが恐くって必死に足を動かすけれど、行けども行けども何も見えては来ないんだ。でもある日唐突に気付いてしまった。追いつけないのではなく、独りだけ先に行き過ぎてしまったのだという事に。 (ゼフォン)

《海》 5/19-5/20
煌めく青に浮かべた船で新世界への扉を潜る。さあ行こう、遮るものは何も無い海原に吹く風は僕達を僕達を祝福してくれる。どんな苦難も乗り越えていける、頼もしい仲間と共に。悔やんだ過去もあるけれど、未来へと進むその足取りは決して鈍る事は無い。乗り越えた悲しみのその先へ。 (ED後)

《枝》 5/20-5/21
分かれた枝葉は無限に広がり、最早その先を視る事は出来ない。始まりの樹を前に、彼は一人佇んでいた。近い先、彼等はここにやって来る。己の役割が終わるか否か。それはその時にならねば分からない。だが、一度だけ相見えた彼の抱いた大きく強い光は、きっと世界を照らすのだろう。 (レネフェリアス)

《伝承》 5/21-5/22
過去に飛んで得た力は確かに己の助けとなった。だがこれは、彼等が血の滲むような努力の結果得た力。少々の事で得て良いものでは決してない筈で。そんな問いかけに、返って来たのは否定の声。伝えられて嬉しい人はいても嫌がる人はいない、と。嘘の無い笑顔に自然と頭が下がる。 (紡主&トルワド)

《瞬間》 5/22-5/23
血に汚れた顔、触れた頬の冷たさ。最期まで自分を心配していた弟の死に顔。いつまでも脳裏にこびり付いて離れない。目の前の笑顔をまた失ってしまったらと思うと恐くて仕方が無いんだ。些細な怪我でも背筋が凍り、視界が歪む。忘れたい、でもあれも確かに大事な弟だったんだ。 (ミュラ)

《雲》 5/23-5/24
彼の瞳には何が映っているんだろう。柵に囚われ生きた屍のようになってしまった彼の望みを叶えたら、解放できるのだろうか。キミの望みも、皆の望みも全部掬い取れる未来が無いのだろうか。もし叶う事ならば。もう一度、あの境の無い空の下キミと笑って過ごせたら良いのにね。 (ゼフォン)

《おちる》 5/24-5/25
深い闇に沈んだ身は、誰にも気付かれる事無く消えて行く。それがきっと相応しい。過去も現在ももういらない。未来なんて望めない。きっと私はあの時消える運命だったのだから。何でも無いものになるのが相応しい。それなのに自分を個として呼ぶ声で、瞳は光を映すのだ。 (イリア)

《はじめて》 5/25-5/26
彼女を前にすると心が張り裂けそうなくらいに痛くなって、でも何だか暖かくなるんだ。僕は病気かな?そう聞いたら姉弟揃って笑い転げられて、結局答えは見付からなかった。仕方なく本人に聞いてみたら、何故か真っ赤になって怒られた上に逃げられた。どうしてだろう? (主リュセ)

《掴む》 5/26-5/27
握っていた筈の大切なものたち。気付けば全て失っていた。何故こうなってしまったのか。零れた問いに答える声は無く。独り蹲る背に触れるのは、犯した過去の罪。付け入る隙を狙っていて、もし受け入れたら忽ち内から引き裂かれるだろう。どうか許して(許さないで)下さい。 (レネフェリアス)

《沈黙》 5/27-5/28
黙々と処理されていく書類の山。室内に響くのは紙同士が擦れる音と、ペンの走る音。それから時折交わされる質問や確認の声。静かな空間にそれはやけに大きく響き、だがそれがここでの日常で。皆でわいわい騒ぐのも好きだけど、こんな時間があっても良いかな。ふとそう思った。 (紡主&レギウス)

《太陽》 5/28-5/29
暴力的な光は弱い光を飲み込んで、周囲を侵食し時には命さえも奪い去る。でも、キミの光はどんなに強くなったとしても全てを優しく包み込み、皆を明るく照らすんだ。だから、安心して信じた道を進めば良いよ。そして願わくは、その光が彼にとっての救いともならんことを。 (ゼフォン)

《月》 5/29-5/30
志半ばで散っていた嘗ての仲間達。悔やむ気持ちも憎しみも、消えること無く胸の内に燻っている。それはともすれば暴れ出し、憎しみに任せて武器を振るいそうになる。だがその度に静かな月のような眼差しを思い出す。苦しみに耐えながら笑う彼女の姿に、勇気と力を貰った気がした。 (デューカス)

《薬》 5/30-5/31
どんなに疲れていても、君に会うと元気になる。怒りも悲しみも、全てを昇華してくれるような君の存在は、僕にとってかけがえの無い、そう特効薬みたいなものなんだ。そういったら、私は便利な道具じゃないって怒られた。君がいないと生きていけないって、伝わらなかったのかな? (主リュセ)

《逃げる》 5/31-6/1
永遠にさよならするなら、泣くより笑っていたいよね。そんな呟きに、キミは驚いた後、縁起でもないと顔を顰めた。本気にした?とおどけて見せれば、視線を逸らされた。うん、それで良いんだ。何でそんな事、なんて聞かないで。笑って言える答えを、まだ用意出来ていないんだ。 (ゼフォン&紡主)










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