4月






《夢》 4/17-4/18
声を枯らし、喉を焼き、叫んだ声は届かずに、伸ばした指も触れぬまま。深遠に落ちて行く身を救い上げるものは無く、ただ闇に飲み込まれて行くだけの惰弱な身、それがボク。でもやっと見付けた。天に座する星の長。周囲を明るく照らす強い光を内包した、絶望の果てに見えた希望。(ゼフォン)

《桜》 4/18-4/19
彼女はいつも満面の笑みを浮かべ、楽しそうに天を仰ぐ。手にした竪琴が紡ぐ歌は、自然を言祝ぐ光となって。楽しそうに、嬉しそうに。彼女が動けば遅れて薄桃色の尾羽が揺れる。その様子が目に楽しくて皆がつられて笑顔を浮かべる。彼女はそれが嬉しくて、また風を纏い舞い踊る。(メアメイ)

《背中》 4/19-4/20
約束した、守るって。約束したんだ、シグニィさんと。必死に修業に打ち込むあいつは、強いくせに泣き虫で。自分の事より人の事ばっかりで。傷付けられても平気な顔して、でも一人でこっそり泣くような、弟よりも目を離せない弟分。なのに、いつの間にか守られてる自分がいた。(ミュラ)

《沈黙》 4/20-4/21
己の失態で仲間を傷付けてしまった。申し訳なくて消えてしまいたいと思ったけど、逃げる事になるのは嫌だった。謝るのは簡単だけど、それで許されるのは違うと思うから。結局、何も言えずに押し黙る。それなのに、分かってると言われてしまえば込み上げるものに唇を噛んだ。(紡主)

《体温》 4/21-4/22
彼は自分の思う通りに動く手駒が欲しかった。何も言わずともこちらの意を汲む賢さと、かといって出過ぎず従う従順さを兼ね備えた人形が。だがあの日、静謐な空気を纏い凛と立つ彼女の姿に、御しきれぬと分かっていながらその手を選んだ。触れた温もりが、彼の心を絡め取る。(レネフェリアス)

《眠り》4/22-4/23
視界を埋め尽くす白も、動かなくなっていく己の身体も、新たな世界の始まりを祝福しているようだ。自分と空間の境界が曖昧になっていく。これ程の安らぎは、始まりのあの時以来かな。彼等なら未来をいい方へ導ける。ボクはそれを見る事は出来ないけど、信じれるのは何でかな。(ゼフォン)

《横顔》4/23-4/24
昼間の喧騒が嘘のように静まり返った砦内を一人歩いていると、自分が世界に独りきりの様に感じるよ。たまたま出会った彼に冗談交じりにそう言ったら、一瞬酷く驚いた後、何も言わずに視線をさ迷わせた。その様子が何だか迷子の子供みたいで。ここにいるよ、と声をかけたんだ。(紡主)

《幸せ》4/24-4/25
華やかな笑みを口元に彼女は眼前に広がる光景を眺める。戦いの理由を知った者は、貴方の行いに眉を顰めるでしょう。でも私は貴方が何をしたかったのか、何を守りたかったのかを知っている。だからこそ、貴方が愛した世界全てを私は生涯慈しみ見守り続けて行こうと思うのです。(アストリッド)

《指先》4/25-4/26
生きている証明とは何だろう。眼前に掲げた手の平は、血の通ったものの色をしているのに、自分が本当に生きているかと聞かれれば分からないと答えるだろう。いっその事人形にでもなってしまえば…。思わず漏れた声に、心配そうに触れた温もり。ああ、これが答えなのだろうか。(ゼフォン)

《声》4/26-4/27
追い詰められ、必死に武器を振り回す。薙ぎ払われた敵が断末魔を上げて崩れ落ちた。だが有象無象に沸いてくる敵を前に、自分の限界も遠くはないと知る。自分の最期が頭を過ぎり、口元が歪む。心残りはあるが、同じ志を持った仲間がいる。どこからか彼等の声が聞こえた気がした。(デューカス)

《笑う》4/27-4/28
「なあ、なあってば!」追いかけてくる声を無視して歩き続けるも、声の主は諦める様子も無く声を上げながら付いて来る。その様子を微笑ましいと見守られているなど露知らず。だがいつまでも付いて来る声に耐え切れなくなり振り向けば、勝ち誇ったように笑う顔に殺意が沸いた。(ザヴィド&ジーノ)

《師弟》4/28-4/29
本来ならば無かった筈の道の交わり。結果生まれたのは、伝承で結ばれた一時的な関係。だがそれでも自分の技が確かに未来へと伝承され、しかもそれが今正に彼等の役に立っているというのなら、それも悪くは無いと思うのだ。確かな手応えに浮かぶ笑顔に頷きを返しながら。(トルワド)

《酔う》4/29-4/30
人の集まる砦には様々な種族が集まっていて。そこに投下されたのはお酒という爆弾。圧倒的に成人の方が多い中、どうなるかは分かり切っていた。種族の垣根を越えて皆が楽しくするのは良い。でも流石にここまでだと困っちゃうね。残念な惨状を前に、団長は素面組と頷き合った。(紡主)

《朝》4/30-5/1
沈みゆく太陽に漠然と抱く寂寥は光を欲する生物の本能か。それとも闇に対する恐怖か。そんな答えの無い疑問を抱え、最後の光が大地を染め上げる光景を自身も朱に染まりながら眺める眼差しは強く、その瞳は太陽の光には遠く及ばない小さな、だがそれよりも強い輝きを秘めていた。(紡主)










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