rain song


屋根に水の弾ける音が聞こえる
絶えることなくいくつもいくつも

霧雨はあまり好きではないが
ぱらぱらと奏でる音は嫌いじゃない


私は目を瞑ったまま
空中に直線を描きながら落ちてくる様を想像してみた

いくつもの線が不規則に空を切っていく
いくつも、いくつも
コンクリートの道を目指して
街灯に照らされて
緑色の障害物を抜けて
水滴は舞い降り続ける


さらに私は屋根と自分の底辺までの空間を埋めてみる
横たわったままの姿で
雨粒に打たれることにした


雨粒は余すことなく私を貫く
痛みはない

皮膚を通り抜けて
空っぽの空間に線を描き
底で軽やかに弾ける

弾けた水色の粒は絶え間なく私の中に広がって
どうしようもないセンチメンタルを浸していくのだ

いつかの思いも
昨日の不満も
明日への不安も
全部浮かべて
ぷかぷかとどこかへ流れていった

ぷかぷかぷかぷか

私の中の海でゆらりと漂う私

ぷかぷか当てはない

ただ流されるまま

身を任せて目を閉じる



そのまま私は安心してゆっくりと
眠りの海原に潜っていった

雨音響く午前一時



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