恋とはまだ認めたくない


例えば、
長い時間太陽に照らされた雪が溶けるように
春の次に夏が来て秋から冬に移るように
貴方がいなくなったら私の息も止まる
そんな常識があったらよかったのに

ありきたりな言葉だけど
使い古された言葉だけど
貴方がいないと生きていけない
貴方が私の心の支えで
いなくなったら呼吸が苦しい
馬鹿げてる
歌を嘲笑したこともあった
煩わしい
面倒くさい
そんな足枷粉々にして
けれどそう笑えないほど
私の中に貴方がいる

ねぇ、
この感情をなんて言うのかな
恋とは呼べないよ
呼びたくないよ
それは違うとはっきり言いたい
貴方のことは大好きだけれど
四六時中頭の片隅にいるけれど
貴方の言葉なら何でも頷けるけれど
貴方は私をペットみたいだと言ったけれど
貴方は恋人になれない
貴方との恋仲を想像できない
私はそれを望まない


貴方と私をつないでいるのは
一体何なんでしょうね
腐れ縁、友情
そんなものでしょうか
でも私の中には貴方がいて
暗闇を照らす灯火のように
水中で使う酸素ボンベのように
無くてはならない大切な物で
もしかしたらもう
貴方なしでは生きられない

でもね、
会いたくないの
声も聞きたくないの
言葉もいらない
本当は全部ほしいけれど
私は多くを望みません
貴方が与えるものだけでいい
強欲は私をダメにするの
望んでも手には入らないから
がんじがらめになって
身動きできなくなってしまう
そこまで貴方に囚われていたくない
私は私を大切にしたいから
貴方もそれを望むだろうから
だから黙って林檎が落ちてくるのを待ってる
それが貴方のいうペットということでしょう
待ての状態で黙って尻尾を振っている
これを恋と呼ぶならば
こんな切ないものいらない

ただ私の中に一秒でも長く居座っていて
それならいいでしょう
目の前の林檎は食べれないけれど
思い描くのは自由でしょう
貴方の存在が私を動かしている
貴方が心にいることで
私は安心して鼓動を鳴らせる
貴方が好きよ
好き好き大好き
できることならこの先も連絡とっていきたい

いつかは必ずくる別れを
私は覚悟しなくちゃいけない
わかっているよ
前よりはましになったけど
それでも貴方に囚われ過ぎている
だから早く追い出さないと
貴方なしで生きないと
ゆっくり時間をかけてもいいから
確実に貴方を消していかないと
そう思えば思うほど
泣きたくなってくるのは何故

嗚呼例えば、
雪が解けたら春が来るように
投げたボールがいつか落ちるように
貴方がいなくなったら消えてしまえればいいのに
消滅してしまえばいいのに
跡形もなく。



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