カカシ先輩と好敵手のおまけ 


○好敵手おまけ(一方その頃テンゾウは…)


ボクは今窮地に立たされている。
昨夜、緊急招集がかかり、暗部の精鋭数名で、とある場所で他里の暗部と交戦中だ。戦闘の状況がこちらにとって不利というわけではなく、むしろ我々木ノ葉の暗部は敵忍を圧倒している。
ボクが恐れている相手は敵ではない。
今まさに、敵どもを圧倒的な強さと不機嫌さでなぎ倒しているカカシ先輩の事が怖いのだ。
「テンゾウ遅い」
「はい!すみません」
「ったく、こいつらほんとに暗部なの?苛めがいが無い連中だね」
話しながら先輩のまわりには血飛沫があがり、積み上がる死体の山。
何があったのか解らないけれど、カカシ先輩が滅茶苦茶に不機嫌なのは間違い無い。
「オレあっち片付けて来るけど、戻るまでにここ全部綺麗にしとけよ」
「は、はい……!」
ギロリと睨まれて、あれ、ボクたちは仲間ですよね、先輩はボクの味方ですよね、と確認したくなる。苛立ちを隠す気も無く、刺すような殺気を纏いながら背中をむけた先輩に、ボクは恐怖で唾を飲み込んだ。

さっさと片付けないと…帰りの道中でどやされそうだ。
大体いつもカカシ先輩の八つ当たりを受けるのはボクなのだ。他の暗部の先輩方は見て見ぬふりで、自分の仕事に没頭している。理不尽だ。

カカシ先輩はとにかくはやく里に戻りたいらしい。今日何か予定があったんだろうか。だからこの緊急招集にぶちぎれているのだ。なんて小さい男なんだ。
だけど鮮やかに戦場を駆るカカシ先輩はやっぱり格好良かった。あんな風にボクもなりたい。そして後輩を顎でつかってみたい。

それにしても、今日ここにナズナがいてくれれば……。

腐れ縁のあの子は、なぜだかカカシ先輩にとても気に入られている。ナズナがいると先輩はなんだか機嫌が良い。その辺り、カカシ先輩に詳しく探りを入れてみたいところだが、あんまり深追いすると自分の首を絞めることになりそうなので、実現には至っていない。


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