カカシ先輩と水風船のおまけ1 


●「カカシ先輩と水風船」の切なくてボツになったネタ



カカシ先輩は藍色の、私はピンクの水風船をそれぞれ持って、両手に戦利品の袋を抱えて神社の境内に向かった。

「先輩は藍色が好きなんですか?」
「ん?そーいうわけでもないけど」

けれど、藍色の浴衣はカカシ先輩にすごく似合っている。月明かりの下、先輩の銀色の髪が風に揺れた。


石段に腰を下ろそうとしたとき、手元が狂って、水風船が指をすりぬけた。

「あっ」

足下に落ちてぱしゃりとはじけ、水をまき散らす。……割れてしまった。しょんぼりしながら荷物を置いて、風船のかけらを拾う。

「これ持って帰る?」

先輩が藍色の水風船を、私の目の前に差し出した。そのシチュエーションになんとなく、さっきの紫色の浴衣の子を思い出した。カカシ先輩は私に付き合って水風船釣りをしてくれただけなのだから、持ち帰っても処理に困るんだろうな、とは思ったけれど、なんとなく、私だけが思い出を持ち帰るのは寂しいような気がして。

「えと、大丈夫です。それは先輩が持ち帰ってください」

ピンクの風船のかけらをきゅっと握って、先輩にむかって笑う。

「わかった」

気に障らなかったようで良かった。先輩に微笑み返されて、少しだけほっとした。


[back]
×