□悲しみ堪え難く カーティスの一番の女の子のアクマ、アル。 アルはもう、自我がすっかり芽生えていて、立派な人間になれている。 自制心もちゃんとあるから、主人の命令無しでは人殺しはしない。 『他の子達もせめてレベル3位にしようとしてたのに…』 「何処から嗅ぎ付けたのか分からねぇけど、そのスキにエクソシストの奴らにやられたと」 『…うん』 「本当、エクソシストも飽きないよな、アクマ狩りなんてさ」 ティキは飽きれ半分、カーティスを泣かした怒り半分といった表情をしていた。 「…エクソシストに殺されたアクマ達の仇は、取ってやろうな」 『ティキ…』 「…アルも、そう思うだろ?」 不意にティキはカーティスの背後にいるアルに話し掛けた。 アルは表情を曇らせ、静かに頷く。 「…ロアは私の数少ない理解者でした。そのロアが、エクソシストに殺された…。それは絶対に許せない事です」 レベルはアルよりも低かったが、ロアはアルにとって大切な仲間であった。 「私は、奴らを許せません」 いつか、仇を取りたいです。 アルはティキ達に言った。 『…アル』 私の家族。 ノアの一族もそうだけど、私にとってはアクマも家族の内に入るんだ。 アクマの成長していく過程は、赤子が自我に目覚める感じと似ているのだ。 だから、アクマも家族と同じ。 大切な家族が殺されていく様を見ていることは、すごく辛いし、悲しい。 だから、エクソシストは憎い。 私の中での、悲しみの連鎖。 それを、なくすために。 家族が、いなくならないように。 私は、あなたを、君達を守るよ。 この身にかえても、家族を守る。 ここが、あたしの居場所だから。 大切な、大切な人達。 消えていなくなるなんて事、絶対にさせないから。 「……こらっ」 『痛っ…!』 「お前が今なに考えてるか分かるぞ」 ティキはカーティスの頬を軽く抓り、眉に皺を寄せる。 ティキはため息をつくとカーティスの肩に手を沿え、じっとカーティスを見つめる。 「…死んでも守るだなんて、考えるんじゃない。お前がいなくなったら俺は、残された者達はどうしたら良い?」 『それは…』 「お前がアクマ達が殺されて悲しむと同じで、俺達もお前がいなくなったら悲しむんだぜ?」 ティキは手の平をカーティスの頭に乗せると、ふっと微笑んだ。 「泣くのは、俺もアクマも同じだ。感じるものは皆同じなんだ」 自分が犠牲になるなんて、言うんじゃねぇよ。 大切なのは皆同じなんだから。 「だから、俺達は殺されたアクマ達の分も生きなきゃいけない」 「生きて、彼等の仇を打ちましょう。カーティス様」 生きて、生き抜いて。 残ったものを掴む時 世界が変われば良いと、心から思う。 ============================== あとがき テスト期間も関わらず書いてしまったノア連載。 今回はティキが登場。 少し甘くなりま…した? 余り分からない話になりましたがお気になさらず…(汗) *前│次# back TOP |