□無残、無惨 水分よりも重たい何かが、体内に流れ込んでくる感覚。 『…アル、終わった?』 「はい、終わりました」 何かを注ぎ込んだアルは、乱暴に突き刺した爪を引き抜き、エクソシストを一瞥した。 その一瞬で僅かに、返り血を浴びてしまった。 「あーあ、汚れた…」 『我慢してアル。すぐ終わらせるから』 そういいカーティスは膝をついて倒れたエクソシストの前に出た。 意識が朦朧としているエクソシストは霞む視界でぼんやりとカーティス達を見上げていた。 「…何、を……」 『体、重たいでしょう?』 「!」 『自分の体重じゃないみたいに重たいでしょ?』 にこりと笑うカーティスにエクソシスト鼻で笑った。 「…はっ、毒でも入れたか」 『まさか。そんな物騒なものは入れないわよ』 クスッとカーティスは笑い、エクソシストを見た。 『私、アルとの相性は結構良いのよ?』 「…?」 「そうですね、簡単に言えば鉛を流し込みました。貴方の体内に」 「……なんっ、だと…!?」 体が重く感じるのは、金属が直接流し込まれたからだ、とアルは笑った。 「貴様…っ!!」 『…貴方の重力、増していくわよ?』 その瞬間 エクソシストは下に、大きなクレーターを作った。 「うっ…ぐ!…あぁ…ッ!!」 『馬鹿な人ね。私たちに関わらなければこんな事にはならなかったのに』 エクソシストは首を上げて彼女等を見上げる。 虚ろな目は彼女等の姿を映すことはなかった。 『そろそろおしまいにしましょう。千年公の所に行かなきゃ。 重力、千倍』 エクソシストは悲鳴をあげる暇もなく、そこには赤の泉が広がった。 『…さて、このイノセンスは当たりかな?』 強い光、強い気を持つイノセンス。 千年公の求めるハートとなるか? ============================== *前│次# back TOP |