□無言の眼








「…バカなティッキー」


バカなティッキー。

はぐらかすならもっとマシな嘘をつけば良いのにねぇ。
わざわざカーティスに嫌われるような事するなんて。


「やっぱバカだねぇ、ティッキーってぇ」




*****




「…ヘックショイ!!」

「何だティキ風邪かぁ?」

「噂されてるのかもよ〜?」

「んな事ねぇよ」


白のティキは炭鉱へ、友達と向かっている最中だった。


「いや、されてるかもよマジで」

「バァカ…どんな噂だよ」

「"ティキ最低〜"とか!」



グサァ!!!



何か胸につき刺さる言葉とも知らず、友達は談笑をし始めた。

この間は、勢いであんな事言っちまった。
しかもそれをごまかすためにあんな事まで言っちまって。


「…(まだ、怒ってるだろうなぁ、カーティス)」


あの後は自力で重力から抜け出したが、流石にきつかった。

この世の万物を選べる権利がある俺でも、カーティスの能力だけは拒否出来ない。
発展途上のカーティスの力は未知数だからだ。


「(今であんなだとすると、あいつが力に目覚めたらどれくらい力を発揮するんだ?)」


俺はカーティスの力を相殺するのが一苦労だった。
半覚醒であんなだ、本当に覚醒したらどれくらい大きな力になるだろう…。



「…?どうしたティキ?」

「…え?ああ、何でも?」

「そうか?震えてたぜ?」

「大丈夫だって!心配すんな!」





何で震えてたかって?

そりゃあ


カーティスの果てしない力を想像したら愉しみになっちまったからな。



それを想像するとゾクゾクする。

カーティスは俺達ノアにとって、必要不可欠な人材。
それに、千年公もロード並に大事にしてるみたいだし。



「………ヤベ、本気で惚れる…」

「ティキ惚れた奴いんのか!?」






ところ変わって伯爵邸。

ロードとカーティスはテーブルに並んだ沢山のお菓子を手に取って口に頬張っていた。


『あ、これ美味しい…』

「でしょぉ?あの駄菓子屋、見た目ボロイけどお菓子は美味いんだ〜」

『いいなぁ〜、私も通いたいな』

「じゃあ行けばぁ?」


カーティスはクスクスと笑って、行けないよと言った。


『独り歩きしたらまた飛び付かれちゃうでしょ?』

「カーティスそれぼくに対する嫌味ィ?」

『…さぁ?』

「意地悪ぅ〜。ゴメンてばぁ」


ロードはカーティスに体当たりして傷を付けてしまった事を思い出し、しょんぼりしてしまった。



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