□私の事情











「カーティス!?」

『ティキ?』


扉を開ければそこは玄関で、今にも出ていく所だったティキと遭遇したカーティス。

ティキは驚いて目をぱちくりさせている。


『ティキ、出かけるの?』

「え?あ、いや。もう終わったから良いや」

『仕事?』

「いや?なんつーか、自主課題みたいなもん」

『課題?』


頭をボリボリと掻いて視線を反らしたティキ。




「…何だよ、もう見付けたのかよ…」


ティキは聞こえない程度の小さい声で呟いた。
実はカーティスが心配で探しに行こうとしていたのは、ティキも同じだったのだ。

だが、カーティスはティキが探しに行く前に双子とロードと仲良く帰って来た。

見れば勝ち誇ったかのように微笑んでいるロードと双子。

呟きが聞こえたのだろうか。


少し損した気分になったティキであった。


「あれ、肘擦りむいてる?」


子供組に目を向けていたティキはその視線をカーティスに移すと、痛そうな擦り傷があった。


『あ、本当だ。三人が飛び付いてきたから尻餅着いちゃって、その時擦りむいたのかも』

肘の傷を確認したカーティスは今気付いたかのようにへらっと笑った。


「…おいで」


ティキはカーティスの腕を引いて奥の部屋に連れていく。


「おいティキ!カーティスに何する気だっ!!」

「ヒィッ!カーティスに変な事したら承知しないよ!」

「ティッキー、やらしい事…」

「しねぇよ…」


家族からひどい言われようのティキ。
カーティスは腕を引かれるがままティキに着いていった。



「…肘、見せてみ?」


カーティスは素直に肘をティキに差し向けた。


「うわ…、結構ひどいぞこれ」

『平気よ?あんまり痛くないし…

………っい!!』

「…やっぱりな。やせ我慢する必要はないんだからな」


消毒液をつけた脱脂綿を擦りむいている肘に軽く触れさせる。
傷口にはその消毒液がしみてヒリヒリする。

こんなにも痛そうなのに、この痛みに気付かないわけがない。

そう思ったティキはカーティスの手当てをするべく救急箱を取り出した。


『だって…、あんまり痛がったら三人とも落ち込んじゃうもの』


カーティスは少し間をあけて口を開いた。


「あいつらは落ち込むくらいが調度良いんだよ。だから気にするな」


ティキはカーティスの顔は見ず傷口の手当てに集中している。

そんなティキをカーティスは見ていた。


「はい、終わり」

『ん、ありがと』

「どういたしまして」


手当てを終えるとティキは救急箱を元の位置に戻しにいく。


『…ティキ』

「んー?」


救急箱をかたずけているティキの背中を眺めているカーティス。


『ティキも、私を心配してくれたの?』

「…まあ、な」


ジャスデビ、ロードは心配してくれたのは分かった。



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