□見て触れる










『わ〜、結構人がいるんだね』

「カーティス様!早くお戻りになられた方が…」

『大丈夫大丈夫。千年公にはちゃんといって来たから』


カーティスはアルを連れて街に来ていた。

理由はない。

ただ人間を見たかったというだけの事。


『(強いて言うなら人間のエクソシストを見たい、なんだけどね)』


しかしそんな事を言ったら、ロードや千年公に止められてしまう。
だからあえて言わなかった。

エクソシストを見るため、アルを連れて来た。
アルの想い人を見つけようと、カーティスが強引に引っ張り出したのだ。

しかし、なかなか簡単には見つけられなかった。

…それもそうか。

これだけの人数から一人の人間を見つけだすのなんて至難の技だ。


『やっぱり見つからないね』

「仕方ないです。あちらは世界中にいるアクマ達を破壊しながら点々としているのですから」

『多忙なんだね』

「はい…」


敵だから仕方ない、とアルは呟いた。


『やだアル、会えないからってそんな顔しないで』


アルの表情は少しだが沈んでいた。
カーティスはからかい半分でアルを茶化すと、思った通りの反応が帰って来た。


「そ、そんか事ないです!私は…………あ。」



アルは言いかけて話すのをやめた。

そして、カーティスの後ろに視線を向けている。
カーティスはその視線に沿って後ろを振り向いた。


『…エクソシスト…』


黒い服に身を包んだ格好は、カーティスも何度か見たことがあるため直ぐにわかった。
目立つその格好から長い髪を揺らして歩く姿は眼を引く。

成る程、確かに顔は良い。


『…行くよ、アル』

「え?!」


カーティスはアルの手を引きエクソシストの元へ向かう。





*****





「…そんなの知らなかった」

「まあ、話してなかったのも悪かったな」

「ヒッ、じゃあカーティスは追った方が良かったんだ…」

「別に良いんじゃねぇ?ロードが行ったし」

「そうですネ∨ロードが着いているなら安心ですシ∨」

「…大丈夫かな、カーティス…」


家族を追い掛ける影と

適を追い掛ける影

どちらが先に手をのばすのだろう。







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