| あたらよの宴 ひのてんR18 |
「んうっ」 自身の根元を握りつつ、後ろから指が抜き出される。覆い被さった彼に唇を与えられると、理性が飛んだ脳みそは快楽を求めるように自ら舌を伸ばした。唾液ごと絡める口づけに、腹の下がずくんと疼く。 「今日は何も準備してこなかったから、このままさせてね」 「んん……っ」 ぬるんと脚の間に割り込んだ昂りは熱く、火野の言葉の意味もよくわからないまま頷く。 腿を抱えられ、宛てがったものがぐっと沈み込めば、久しぶりの体温に内壁が蠕動を始める。しかし狭い内部を抉じ開ける動きに、体がぎちぎちと熱量を食い締めてしまう。 「っぁ、ん……っ、き、つい……っ」 進まれるのは痛いが退かれるのも嫌だ。やり場のないもどかしさに身を捩ろうとすれば、中心に指が絡みついてきた。 「は、あ…っ、ぁ……！」 あやすように手を上下され、駆け抜けた快感に涙が滲む。意識が逸れ、力が抜けたタイミングで、奥まった場所でも濡れた音が聞こえた。 「やっ、ぁあ……っ」 繋がりが深まる感触に身震いする。天子の体が布団をずり上がらないよう固定してから、ゆっくりと体重をかけて押し広げられた。 湧き立つ内壁を余すところなく摩擦され、声にならない声を上げて浴衣の背に爪を立てる。覆い被さった格好のままゆすゆすと前後に揺さぶられると、体の内外で彼をきつく拘束してしまった。 「ま、だ……っ、うごか、な…っ」 絡めた脚で動きを制止しようにも、あまり強めるとずっと奥まで占領されてしまいそうで怖い。が、内側で溜まりに溜まった欲は少しの刺激でも呆気なく爆ぜるだろう。今夜ばかりはできるだけ長く繋がっていたいのに、初めから飛ばされては己も制御できなくなる。 「この状態で動くなって、ずいぶん意地悪言うんだね」 やや眉を寄せ、指先で首筋の汗をそっと拭う姿は堪らなく色気があった。しかし彼も天子の嘆願を聞き入れるほどの余裕はないらしく、脚を抱え直して腰を進めてくる。 「あ、や……っ、なんで……っひぁ！」 硬い先端が敏感な粘膜に押し当たり、天子は胸を逸らせる。狭まる筒をみっちりと満たされ、引いては打ち込まれる動きにビクビクと腹の奥が痙攣した。あからさまな反応に、ごしごしと肌の上からそこを撫でさすれば、気づいた火野がそっと手を滑らせる。 臍の下を執拗に撫でながら、腹側を擦るように律動されればキュッと内部が収縮した。 「っやだ、さわんな、それ……っ、あ、あっ」 トロトロと中心から滴る蜜を馴染ませるように、すぐ上の下腹部に手のひらで軽く圧をかけられた。すると彼を咥え込んだ最奥部が疼き、とんとんと突かれる度に痺れるような刺激が腰を直撃する。 「や……っ、ぃやだ、こんな…っ」 動き自体は決して強くはない。快楽を拾い上げる感度がめちゃくちゃになっているだけだ。粘膜の締め付けを押し返す硬度と脈拍が愛おしくて、なのに気持ちよりも先に体が反応してしまうのが恥ずかしくて、愛撫を拒否せざるを得ないのだ。 「――はぁ」 不意に、明らかなため息が聞こえた。 「えっ……あ、っ」 体内を占めていたものがずるりと抜き出される。喪失感を覚える間もなく、火野に腕を掴まれた。 「起きて」 「ぁ…、なんで…」 強引に上体を起こされたかと思えば、無表情の火野は代わりに寝転び、天子の腰を誘導して己を跨がせる。彼のものがひくつく場所に触れ、首の辺りがじわりと熱を持った。 「ん、あっ」 ぐっと押し付けられた屹立が、滑りを伴って狭い入口を抉じ開けてきた。ここまでされれば特に言及されずとも命令は伝わる。上に乗って自分で動けと言いたいのだろう。 彼を跨いだ格好で両膝を布団につき、やや前傾の体勢で恐る恐る腰を下ろしていく。 「っは、んん……！」 ぬぷぬぷと厭らしい音を紡いで、熱の塊が密着した襞を擦り上げる。ふと、こちらを見上げる濡れた瞳と視線が絡み、思いがけず込み上げた凄まじい羞恥にきつく粘膜を締め上げてしまった。痛いよ、と静かな苦言が零される。 「あ、だっ、て………っ、ん、ふか……っ」 言い訳しようにも、深く潜り込んでくる熱に夢中で言葉が出てこない。彼の腹に恐る恐る手をついて腰を押し付ければ、ずんと奥を穿たれて全身が震える。 「ほら、頑張って」 「あ、ぁ……っ」 催促を受け、ぎこちなく体を前後させるが、これでは受け入れている側しか快感を得られない。 思い切って腰を持ち上げると、抜け出ていく際の摩擦にきゅんと腹部がわなないた。はらりと落ちてきた浴衣の裾をたくし上げ、そのまま腰を元の位置に戻すが、大きく抜き差ししたつもりでも意外と動けていない。 騎乗位に慣れないこともあって、自分が気持ちいいと思える浅いポイントに当たるよう律動をつい調整してしまう。 「は、あっ……、うまく、できな……っ」 火野の機嫌があまり良くないことは察しているが、自分の何が悪かったのか、さっぱり見当がつかない。繋がっている喜びと己の快感を追うのにいっぱいいっぱいで手が回らない。悔しさと気持ちよさがごちゃまぜになって、ぼろぼろと涙がこぼれた。 「んあ……っ！」 唐突に下から突き上げられて息が止まる。天子の腰を掴み、ここだと教え込むように揺さぶられると頭の芯ががくがくと揺れた。 「っあ、あ……ん…っ！」 内部を遠慮なく穿つ熱に安堵する。少しでも負担をかけぬよう、自分から積極的に動いて然るべきなのに。与えられる快感に慣れきった内壁は甘えるように襞を絡めるばかりだ。 「や……っ、さわ、ったら、ぁあ……！」 せめてもの刺激にと腰をもぞもぞ前後させていると、彼の手で欲望を包まれて瞠目する。絡ませた指をくちゅくちゅと上下され、ただでさえ狭い場所をさらに締め付けてしまう。体が跳ねる度に濁った蜜が迸り、咥え込んだ熱を淫らに波打たせた。 「限界？」 「ぅあっ」 濡れそぼった先端を指で弾かれ、連動した後孔がひくつく。意地でも肯定はしたくないが、何度か腰を送り込まれたら簡単に絶頂へ押し上げられそうだった。 目を合わせないまま首を軽く横に振れば、手首を掴まれて上体を倒される。仰向けの彼に抱きつく体勢に戸惑う間もなく、焦らすように抜き出される熱にビクビクと粘膜が反応した。 「んぁあっ」 肉を掻き分けて再度挿入され、奔放に腰を打ち付けられて嬌声が漏れる。逃れようにも、尻の丸みをがっちりと押さえられてはいくら力勝負でも勝ち目がない。 せめて顔を見られないようにとうつむくのに必死だ。彼の腹部に擦れる自身からも否応なく刺激が伝わり、蕩けた表情はどれほどだらしなく醜いかと思う。 「ひん……っ」 不意に耳を舐められて背筋がぞくぞくと震えた。 「うそつき」 鼓膜に吐息を吹き込むように、低音で甘く詰られる。太腿の裏をつうっと指先でたどって、火野は囁いた。 「余裕のあるフリなんてさせないよ」 「やっ、待っ……あ、んん……っ」 指が食い込むほど鷲掴まれた肉の狭間に、ぬぷぬぷと凶器が埋まっていく。深まる抽挿に泣きながら爪を立てても、彼はもう止まってくれなかった。 「だ、め………っあ、あぁ……！」 揺さぶられればしがみつき、貫かれる度に快楽の証を撒き散らす。既に達したのかどうかもわからないまま、恣に全身を貪られた。 →next ×
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