あかしくんとようちえん


今、私は征十郎くんと一緒に入園式に臨んでいます。


事の発端は征十郎くんのお母さんの何気ない一言だった。

「そういえば照子ちゃんはどこの幼稚園にいくの?」

当初私は征十郎くんの通おうとしている幼稚園とは違う近所の幼稚園に通おうとしていた。
どちらの幼稚園も近いが、朝は出来るだけ寝ていたいし。
ぶっちゃけどこでもよかったが、毎日の行き帰りを重視して選んだ。

そのことを征十郎君宅で一緒にお茶をしていた母が告げると征十郎くんはこの世の終わりの様な顔でこちらを見つめてきた。
どうやら彼は私と幼稚園に通うのは当たり前だと思っていたらしい。

その後遊んでいるときも浮かない顔をしていた征十郎君だが、後日私の家に度々押しかけては二つの幼稚園のパンフレットを取り出して、いかに自分の通う幼稚園がよいかをプレゼンして帰って行った。
だんだん泣きそうになりながら幼児の頭をフル回転させて必死にプレゼンをして帰る征十郎くんに、母が絆された。

「いいじゃない照子。あっちの幼稚園もわりと近いんだしきれいだし何より制服がかわいいわよ。あれ着せてみたかったのよ」

という母の欲望も入り混じった二人掛かりの説得に押され現在に至るわけである。
あの時の征十郎くんの行動力はすさまじく、周りの大人を味方につけては最終的に泣き落とすなかなかの策士である。


「しょうこちゃん。やっぱりぼくといっしょにようちえんかようのいやだったの?」

「ちがうよ。いやじゃないよ」

朝たたき起こされて辛いだけだよ。
なんていえずに征十郎くんを慰めて入園式を終えた。

先生の説明によるとこの幼稚園は大量に本があると聞いたので明日が楽しみだ。

私といっぱい記念写真を撮って上機嫌になった征十郎くんは

「このしゃしんね!へやにいっぱいかざるんだ!」

となんとも可愛らしいセリフを残し、赤司母と帰って行った。
自分の写真が飾られるのは少し恥ずかしい気もするがあれだけ喜ばれると悪い気はしない。

私も母に頼んでどこかに飾ってもらおうかな
そう考えながら母と帰路に着いた。

寄り道してたべたクレープがおいしかった。





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