さいごのさいご


※ほとんど台詞しかない



己が最後に見たのは姫の笑顔だった。

「風魔殿。今日も平和よのう」

「今日も風魔殿の茶が旨い」

「・・・・・・・・・・・。」

「わかっておる。平和なのはこの部屋だけよ」

「不思議なことよな。時期にこの城…いや、この部屋も攻め落とされるというのに。」

「・・・・・・・・・。」

「恐怖も焦りもも感じぬのじゃ。」

「ああ、でも一つだけ、」

「近い未来いつ風魔殿の淹れた茶が飲めなくなると思うと気が気でないのう」

「そうだ風魔。」

「・・・・・・・・・。」

「最上級の茶葉を買ってくるがよい。なに今から行けば風魔殿ならさいごに間に合うじゃろうて」

「・・・・・・・・・・。」

「なに。少しばかりのぜいたくをしても罰は当たらなかろう。」

「頼んだぞ風魔。全速力で買ってこい」

最期に見たのは姫の笑顔だった。
   
「遅いじゃないか風魔殿」

こうなるのは決定事項だったかのように

そういって彼女は笑っていった

(嗚呼、この無駄になってしまった茶葉をどうしてくれようか。)



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