あかしくんとかなしばり
彼におうまさんをせがまれてから二週間がたったある日。
彼は元気にしているだろうか、そろそろ友達は出来たのだろうか。
と彼を心配していたら一本の電話が来た。
母が応対したところ、私に会いたいと征十郎くんが泣き出したらしい。
なんでだ。
そこまでされる程何かした記憶はないぞ私は。
私に確認も取らず母が電話口に明後日赤司家に母と共に私を連れて行くと言った。
その日は私が楽しみにしている幼女向けのアニメがあったのに。
今の私にとって娯楽が非常に少ない事と素直に幼児として過ごしていたら嗜好まで幼児化してきた。
今の私の趣味は子供向けアニメ鑑賞と絵本を読むことである。
悲しきかな。文庫本の本棚には手が届かないのだ。
本棚には何種類か文庫本の他に名作と呼ばれる漫画も置いてある。あれは是非とも読んでみたい。
不本意ながら明後日は予定が入ってしまった為、明日思う存分のんびりしようと布団に入った。
今生では割と健康的に規則正しく生活しているため、いつも大体同じような時間に起きている。
今日もその習慣に乗っ取って九時頃に起きたはずだ。
意識が朦朧としたまましたまま毎朝の癖になっている目を擦る。擦れない。
なんでだ。腕がすっごく重い。なにこれ。腕だけじゃないお腹も重い。
なんだこれ金縛りか。初体験だぞ。でもなんかこれ物理的な感じじゃないか?
胃が圧迫されてうっぷ内臓出そう。
お腹の上を覗いてみる。
なんだか見覚えのある赤い毛玉が私を枕にして眠っている。
なんで私を枕にする。
というかその前になぜここに居る。
私の寝相が芸術的な程に悪い程度の事がない限りここは私の家のはずだ。
「あらおはよう照子ちゃん。お邪魔してまーす」
な ん だ と 。
寝起きドッキリとか照子ちゃん聞いてないよ。
なんでこんな朝早くにナチュラルに突撃隣の朝ごはんしてるんですか!
わたしもそのみかん食べたいですおかあさん!
「ごめんねーびっくりしたでしょう?征十郎が明日まで待てないとか言うから速水さんに言って連れてきちゃった。」
びっくりどころの騒ぎじゃないです。お陰で心霊現象と錯覚してしまいました。
「照子ちゃんが起きるの待ってるうちに征十郎まで寝ちゃったみたい。ほら、照子ちゃん起きたわよ!征十郎!起きなさい!」
寝始めた時にどかしてくれればよかったものを。
彼のせいで腕が痺れてしょうがない。
「しょうこちゃん!おきたんだね!おはよう!」
はいはいおはようおはよう。起きたならそこからどいてくれたまえ。
おねえさん腕が限界突破しそうだよ。ついでに苦しくて内臓でそうだよ。
「しょうこちゃんしょうこちゃん!あそうぼうよ!ね?」
ああやめてください天使のような微笑みで馬乗りにならないでくださいしんでしまいますくるしい!
限界まで苦しくなった私は反応のない私に向かって死なないでと泣き叫ぶ彼をBGMに夢の中に強制送還された。
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