伊達君と


俺はただ、テスト期間と言うだけで補修だ何だといつも以上に執拗に追いかけてくる小十郎から逃げてたしていただけなんだぜ?
but!!
なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないのか!!
誰でもいいから教えやがれ!


校舎内を全力で走り回り、流石の俺も疲れが目に見えだした頃。
肩で息をし、辺りを警戒しつつ見つけた場所は図書室だった。
普段めったに図書室なんかには行かない俺。
まさかここまで小十郎が捜し当ててくるとは思わなかった俺は、乱れた息を整えつつ、空調の効いた図書室に入った。

適当な席に座り周りを見渡す。
辺りには図書委員の女生徒が一人いるのみで、ほかに人は誰もいなく、物音一つしない。
することもなく、本を読む気にもなれなかった俺は、なんとはなしに図書委員の女を注視した。

「あん?」

なんだか見覚えがあるようなないような。
俺はこの女の胸元をさらに注視する。
ただ、この行動は俺が助平野郎だからではなく
見覚えがあったのはその女の胸元のネームプレートだ。

速水照子

確かにその名前の響きは見覚え、いや、聞き覚えがあった。
かといってそれを何で聞いたかなどすぐに思い出せるわけもなく、俺のイライラは溜まっていく。

同じクラスなわけでもねえし、その隣の家康のクラスでも記憶にねえ。
ん?家康?

「ああああ!」

思い出した!こいつ家康がよく名前出してたやつじゃねーか!

「おい!おまっ」

「政宗様!こちらでしたか!!」

「やべえ!」

大声出しちまったから小十郎に気付かれちまった!!
ここは一階だから大丈夫だと俺は咄嗟に窓から脱出し逃亡した。


不思議そうなな表情をした速水照子の横で小十郎に笑いかける家康に俺は気付かなかった。

ごんげーん!

(ありがとな徳川!)(いや礼を言うのはこっちの方さ!)



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