家康君と


唐突だが、わしの話を聞いてくれないか?
ん?『テメーのtalkなんざどうでもいい?』まあまあそんなこと言わないでくれ。

昨日嬉しい体験をしてな。誰かに聞いてもらわないとこの舞い上がった気分のまま奇行に走りそうでな。
……そうだろう。わしだってそんな奇行に走りたくないし見られたくもないさ。
何よりあの子に見られてしまったりなんかしたら……想像したくもないな。
いいから話を進めろって?ははっ!独眼竜はせっかちだな。

昨日の放課後図書室でな、速水さんに会ったんだ。
どうも図書委員当番のようでな。それだけでついてるって思ったんだが…何?速水って誰だって?
隣のクラスの女子でな。わしはその子が好きなんだ。言ってなかったか?
そうかそうか。それはすまなかったな
なんだ独眼竜いきなり食いつきがよくなったな。前田の風来坊のようだぞ?
まあいい。それでだ。

彼女はどうやら本の整理をしていたようでな?
重そうに本の束を抱えていたんだ。
……もちろん手伝ったさ!好いている女子が大変そうにしていたら手伝いたくなるだろう?
本を運ぶのも手伝ったし、処分する本の選別も手伝ったんだ!
二人で過ごせて夢のようだったな!
色々な会話もしたし、彼女の事ももっとよく知ることが出来た!
会話の内容?ははは!すまないが内緒にさせてくれ!
なんだか恥ずかしいじゃないか。
ははは。ああ、すまんすまんつい顔が緩んでしまってな。
どうだ。これで直っただろう?

じゃあ話を戻そう。
仕事を手伝った後にな、

「徳川君今日はありがとうね。とても助かっちゃった。」

と言われてな!!
あの笑顔!!あのはにかんだ笑顔を見たときわしは・・・!わしは・・・!
ん?その時は当然いつもの笑顔でやり過ごしたさ。
彼女にそんな顔見せられないだろう?
内心はもう大変なことになっていたな!
独眼竜も男ならわかってくれるだろ?
あの時のわしを自分自身で褒めてやりたいくらいだな!
それくらいには心の中で頑張っていたんだよ。

それで、お礼を言われた後に

「あ、そうだ。これ徳川君にあげる。お礼に!」

と飴玉を!飴玉を貰ったんだ!
貰った瞬間にわしは家宝にしようと決めてな。
食べずにとってある。
食べてしまったらなんだかもったいない気がしてなあ……。

ん?なんだ風来坊。え!?速水さんがクラスを通りかかった?
それは昨日の事も含めて早急に挨拶行かねばな!
ありがとう独眼竜!これで今日も一日平穏に過ごせそうだ!

一番の被害者は独眼竜

(毎度毎度知らない奴の事を俺に惚気やがって…!)


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