私は夢を壊せない


幻の餅。
それは緑色の不思議な風味の餅だそうで。

是非ともそれは元就様に献上せねばと毛利家忍連合で話し合ったそうで。
部下の忍が任務のついでに餅を探すとどうやらそれは奥州にあるらしい所まで情報をつかんだそうだ。
もしやそれはただのずんだ餅ではないかと喉まで出かかったが、いつになく楽しそうに目を輝かせる部下共には言い出せなかった。
彼等はずんだ餅を確実に宝かなんかと勘違いしている。

「というわけでお頭。自分たちじゃ駄目なんです。お頭が手に入れてきて下さい!」

「すまん。全然話を聞いていなかった。もう一度言ってくれないか。」

「もー。ちゃんと聞いてくださいよお頭。奥州って遠いじゃないですか。お頭丁度そっち方面に任務があるって言ってたじゃないですか。
お頭がここの忍の中で一番腕が立つんですしついでにぱぱっと幻の一品獲って来てくださいよ。」

「私の任務は奥州じゃなくて甲斐だ。」

「大丈夫っすよ」

「いやいや奥州と甲斐じゃ全然違うだろう」

「お頭婆裟羅があるからぱぱっといけるっていってたじゃないっすか。獲ってこれれば元就様喜んでくれますよ!」

「元就様のためなら仕方ないな」

正直彼らが妄想に妄想を重ねどんな宝だと期待している部下共にただのずんだ餅だと現実を見せるよりは
わたしが適当にずんだ餅を見繕って元就様に献上しておけば済むだろう。
そう思い渋々ながらも承諾した私は元就様に甲斐にいくついでに美味い菓子を調達してきますねと嘘と真実を盛り合わせた任務期間の延長を元就様に申し出に行くのであった。

いざゆかん!
わたしはぶかにあまいのだ。


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