我の忍は変装が得意


いままでのあらすじ。

なんやかんやあってお土産を手に帰城した照子。
切腹を試みるも長曾我部が乱入。
お前は帰ったのではなかったのか。
降りてこいとジト目で語りかけてくる元就様。
照子の胃はキリキリと痛むのだった。

元就様は半裸は口論を始めるわそれでもこちらを睨んでくるわ下に降りたくないわ非常に居づらい。
もうあれだ。
あれしかない。
旅人は実は女中でした作戦で行くしかないだろう。
それでもってさも心配してるように見せかけて帰るように促そう。
それだ。それがいい。
変装なら下に降りられるしまず半裸なんかに見破られることもない。

そうと決まれば、と私は先の変装で女中に扮し、お土産にと購入した黄粉餅を泣く泣く器に盛り付けた。
お土産はまだあるし元就様も許して下さるはずだ。
お茶をいれ準備万端になったところでふすまの前で一声かけた。

「元就様。お茶を持って参りました。」

「入れ。」

入室許可を貰った私はそそくさと部屋に入る。
配膳をする私に長曾我部は大げさに声をあげた。

「おっおまえ!」

私もわざとらしく声を上げ大げさに心配してみせる。

「まあ先程の!お加減はいかかですか?
いけない!まだ顔色が真っ青ですよ!」

「大丈夫だぜこんくらい。」

「いえいけません!弱った体に菌は着けこんでくるのです!かつての私の祖母も……」

とありもしない話をつらつらと語り帰宅を促した。
私の話を聞いている間長曾我部は口を半開きにぽかんと間抜け面を晒していた。
いい気味である。

「でもよ。俺人を探してんだわ。早く見つけたいしよー。」

「どんな方なのですか?よろしければ私もお手伝いいたしますよ。仕事柄城には詳しいもので。」

手伝うわけがないけどな。

「いいのか?緑頭の忍を探してんだがよ。心当たりはねえか?」

「生憎そちらの方はあまりお会いしたことがないので……力になれずすみません。
お見かけしたらすぐにお伝えしますのでささ、長曾我部様!」

少し強引だが長曾我部を部屋の外に出すことが出来た。
何故か毛利様もついてきているがまあよいだろう。

「では仕事がありますのでこれで失礼させて頂きます。
お見送りできなくて申し訳ございません。どうぞお大事に。」

「いいっていいって頑張れよ!」

そういって別れたわたしには、その後交わされた会話を知る由もなかった。

「なあ毛利。」

「なんぞ。」

「あの子の名前なんつーんだ。」

「何を下らぬことを。」

「いいから教えてくれよ。な?」

「知らぬ。大方新入りだろう。まさか貴様」

ひとめぼれ!

またくるからな!
にどとくるな!


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