我の忍がやはり天井裏から出てこない
城に帰ってからいつもの忍装束に着替えた後
真っ先に元就様の顔を見ようと私室に向かうと、そこには爽やかに日輪参拝をしている元就様がいた
「元就様!速水照子帰還いたしました。」
「その程度の任務に時間をかけるでないわ。」
今の今まで爽やかだったのに。
なぜ元就様はこんなに苛ついてるんだ。
大量のお土産もきちんと(天井から投げ)渡したのに。
「そういえば元就様。」
帰り道に城門付近にいた長曾我部の報告をした。
するとみるみるうちに元就様の顔が豹変して言った。
「貴様のいない間我は散々な目に遭ったわ。」
その時ことを事細かに説明して下さる元就様の顔は、怒りと疲労をを織り交ぜた何とも不可思議な顔だった。
「その馬鹿は先程我が捨て駒に追い出させたものよ。貴様が返ってくると踏んでたが。」
そうか、元就様は私に頼ってくださっていたのか!
それなのに私は各所で甘味を食べ食べ、旅を満喫していたというのか……!
元就様が苦しんでるという時に……!
「申し訳ありませんかくなるうえは切腹いたします。」
「なぜそうなる」
「申し訳なくて元就様に顔向けできませぬ。切腹します。」
「やめよ。そもそも普段から我に顔を見せぬくせに。」
「よかったですね元就様。私が死した後でよければ死に顔を存分にご覧ください。
出来れば死体は布を巻いて、特に顔は厳重に巻いていただいて、私を視界に入れず燃やして頂きたいのですがほかならぬ元就様の頼みなれば……」
「ええい縁起でもないことを申すでないわ!!」
と元就様と言い合っているうちに家臣の一人が走って来た。
「元就様お知らせが。長曾我部殿がまた戻ってきたようでうわっ入ってきてはいけませんってああ!」
「よお毛利。さっきはやってくれたじゃねえか。」
これほどまでに天井に居てよかったと感謝した日はない。
視線が痛い
なんですか元就様その目は。下におりたりしませんよ元就様
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