私の恰好じゃ気が付かない


元就様に長期任務を任された後。

私は旅人として各地を巡っていた。
なぜなら日ノ本の甘味を大量に買ってこいついでに偵察もしてこいという普段の任務ではないような任務を言い渡されたからだ。
きっと元就様にも考えがあるのだろう。と私は何も考えずに甘味所を巡ってきた。
たくさんのお土産買ったし餅系の甘味はほぼ網羅したと言える。

非常に上機嫌で城に帰ってきた私は城門付近に倒れている半裸の不審者を発見した。
なんだか見覚えのある格好だ。
せっかくの良い気分に水を差してくれた不審者の顔を拝もうとうつ伏せに寝ている不審者を転がそうと足を掛けようとしたがしかし、
今の私はか弱い旅人である。

かよわい女子が足で転がすなんてはしたない。
人の目もある。
ここは面倒だがやさしくやさしく「大丈夫ですか?」みたいな感じで接するべきだろう。
それで「酔っていらっしゃるのですね」のような適当なことを呟いてその辺の草むらにでも投げておくのがいいだろう。

「大丈夫ですか?」

軽くそいつをゆすり顔を覗き込む。
やはり長曾我部か。何でこんなところで転がっているんだ。
あとなんかくさい。酒臭い。
やはりこの後の台詞は酔ってますねで安定だろう。

「あらまあ。酔っていらっしゃるのですね!大丈夫ですか?歩けますか?」

といいつつ肩を貸している風に装い長曾我部を引きずった。重い。
もう一本向こうの通りに捨てよう。そして早く帰ろう。

「おい」

びくっ

「どうされました?気分でも悪いのでしょうか。」

落ちつけ今私はか弱い旅人だ!
酒臭さがムカつくからと言って今こいつに私の黄金の左手を繰り出しては今までの苦労が水の泡。
大丈夫。まだ私が忍だとばれてないだろう。大丈夫大丈夫

「おめえおれを運んでくれたのか。好い奴じゃねえか!」

ほらな。

「わりいが俺は用事があるんでな!ここまでわざわざ運んでもらって悪かったな。」

「いえいえ。顔色がまだよくなさそうに見えますよ。早めに帰宅したほうがよろしいかと。」

「心配かけたな!」

帰宅しろというこちらの話を全く聞かずに来た道を歩いて戻って行ってしまった。
何しに来たのかよくわからんがとにかく早く帰城せねばと第六感が私に囁いていた。


悪い予感程よく当たる

元就様!今帰ります!



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忍「変装だから恥ずかしくないもん!」


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