近所の国主が帰らない


結局。

日が暮れる前に帰ってくると思った全ての元凶が帰ってこないまま馬鹿と夜を明かしてしまった。

好まない酒を浴びるほど飲まされ、くだらない話にもつき合わされた挙句
あの馬鹿は泣きだし寝てしまった。

昨日の二日酔いが残る今、照子には一発くれてやらねば気が済まない程度には非常に苛立っている。

そして、

「おいおい毛利さんよお!二日酔いたあ情けねえな!」

何故帰らない長曾我部。
朝になったであろう。むしろ昼に近いわ。
花子とやらを探しに行くといったであろう
はよう行け。

我の日輪崇拝の邪魔をするな。

昨晩は照子早く帰ってこい等と思ったがしかし朝になった今、
照子が帰還し長曾我部と鉢合わせ面倒事になる位ならば、さっさとこやつを追い出したほうがましではないのか。
全ての対応を照子に押し付けようとも計算外の連続のこの現状。
鉢合わせぬよう上手く策を練るのも現段階では難しいし何より寝不足である。
押し付けるとか押し付けないとか面倒がっている場合ではない。
城内で何かあれば確実に我に被害が来るのではないか。

そうと決まれば話は早い。
力づくでも長曾我部を追い出すのだ。
これ以上面倒事が起きる前に!

「おい長曾我部。貴様花子とやらを探すと言っておったろう。
 昨日も言ったがここには花子とやらはおらぬ。探しに行くならさっさと出て行くがよい。」

「俺も昨日緑頭って言っただろうが無視か。」

「緑頭の忍などこの城にはおらぬわ。」

「待て待て待てあからさまな嘘つくんじゃねえよ!緑頭の奴が俺を酷い目にあわせてたじゃねーか!アイツはどうしたんだアイツは!」

「チッ。いつ帰ってくるかはわからぬ偵察任務に出しておる。しかし花子という名前ではない。」

「花子でもなんでもいいんだよ!あいつが花子だろうがなんだろうが緑頭には一発くれてやらねえと気が済まねえ!!」

何故こやつと思考がかぶるのだ。
なんて面倒な奴だ長曾我部。馬鹿は馬鹿らしく浜辺をうろついていればいいものを!
どうしてこうも目的をころころと…!

「うるさい。とにかく緑頭も花子もここにはおらぬ!いいからさっさと帰れ馬鹿者!まだ我と日輪の邪魔をするのか!」

「日輪って…お前まだそんなことやってんのかよ……。」

「黙れ。」

ええい強硬手段よ

「捨て駒よ!長曾我部を城外に放り投げよ!」

「はあ!?なにいってんだよ毛…おいっ持ち上げるな!やめろ俺をどこに持ってく気だ!あぁぁぁぁああぁ!!」

憑きものが落ちたかのようぞ。
先程とは打って変わって清々しい気分よ。
後程捨て駒には褒美を取らせるとして、今は存分に日輪を!

おお!にちりんよ!

元就さまが笑ったぞ!!
うおおおおおおお!
照子殿にも見せて差し上げたかった!


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