俺の忍は花子じゃない
「はあ?だからそんな奴知らねえって言ってんだろうが!!とっとと魚持って帰りやがれ!」
「そんなこと言わないでさー鬼の旦那!折角の女の子を隠したい気持ちはわかるけどさー俺様だって気になっちゃってんのよー」
「いや俺んとこ女のおの字も無いから。ムサい男ばっかだから。」
武田んとこの猿飛が上司の新鮮な魚をたらふく食いたいという我儘によってわざわざ四国に使いに出されたらしい。ご苦労なこって。
それは俺にとっては全くどうでもよい話。
金子も持ってるみたいだし、魚を分けるのも構わない。
しかし、猿飛は俺にしつこく質問をぶつけてきやがる。
「花子ちゃんはいないの?」
だの
「花子ちゃん普段何やってんの?」
だの全く身に覚えのない話。
話を聞いた所、この前暗殺任務で女の子の忍を飛ばしたでしょ?
だそうだ。
ここ暫く暗殺任務なんて命じた記憶もないし部下に女を持った記憶もない。
そして冒頭に戻るわけだ。
「はあ?だからそんな奴知らねえって言ってんだろうが!!とっとと魚持って帰りやがれ!」
「そんなこと言わないでさー鬼の旦那!折角の女の子を隠したい気持ちはわかるけどさー俺様だって気になっちゃってんのよー」
「いや俺んとこ女のおの字も無いから。ムサい男ばっかだから。」
「またまたあー!本当に女の子いないの?ホラ、緑頭でつんつんしてて、隙あらば物陰に隠れようとする変な子!」
「……オイ今なんて言った。」
「だから、緑頭でつんつんしてて、隙あらば物陰に隠れようとする変な子だって!」
……緑頭の忍に心当たりがある。
少し前の話だ。
いつものように毛利の所に酒を持って押しかけた時にいつものように門番が困った顔をするかと思いきや、
門番は一人もおらず、門に足を踏み入れた瞬間
「お前みたいな半裸の不審人物を城内に入れるなと元就様から申しつけられている。」
と言われ、苦無を浴びせられ、まきびしに足を痛め、落とし穴にはまり。
出てきた毛利がゴミを見るような眼で俺を嘲笑っていたのは記憶に新しい。
その時俺に苦無を投げてきた忍の一人がまさにそんな感じだった。
基本的な攻撃には部下の忍を動かしていたようだが、にやにやとした表情であらゆる罠を仕掛けてきた奴。
あの日以降罠が以前より激化していたが、そうか。あいつの仕業だったのか。
ああ、思い出したらいらいらしてきた。
これはあれだ、上司の毛利に一言言わなくちゃならねえよな?長曾我部の忍と言われて迷惑していると。
いい機会だ。思ったが吉日。あの憎たらしい忍に一泡吹かせるチャンスだ。
上司に怒られちまえ!
「悪いな猿飛。用事ができちまった。」
「なにさ急に!え、ちょっとどこ行くの!?」
「花子狩り。」
「物騒だよ!この半刻でなにがあったの!?」
「思い出したらムカついてきちまってよお。」
「え!?花子ちゃんに会ったことあんの!?どんな子?」
「にやにやと茂みに潜んでゆっくり、延々と追いかけてくる奴だ」
「なにそれ。こわいんですけど」
ちょっと中国まで散歩してくらあ!
なになに全然意味わかんないし!俺様すっごくついていきたい!いっても……いいかな……?うっわでも魚腐る!
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移動速度は云々は「BASARAだから」でおねがいします
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