我の忍に腹が立つ


昨晩の任務の報告が来た。
いつも通り任務をこなしたようだが、例外があったらしい。
詳しく話せと言えば
金髪のくのいちと迷彩柄をまとった橙色の忍に遭遇したらしい。
同時に、この特徴から甲斐の猿飛佐助と上杉のかすがでまず間違いないだろうと。

問題なのはその次。
どこの忍かと聞かれたので長曾我部の方と偽装しましたとのたまったのだ。

偽装しようが長曾我部がどうなろうと我は構わぬ。
むしろ長曾我部が困る顔を想像するだけで愉快になれる。
しかし、長曾我部の忍とあやつが口にしたのが、例え嘘であっても
我はそれが気に食わなかった。
特に明確な理由などないが腹の奥にちりりとした何かが溜まってゆくのを感じたのだ。


折角我が褒めてやろうにも降りても来ない。
気に入らない。

丁度長曾我部から文が来ておる。
あやつは早々に任務をあててやろう。
休みなど与えてやらぬ。
忍如きがこの我に、不快感を抱かせるなど100年早いわ。





ぞわり。

悪寒がした。
誰かが私の噂でもしているのだろうか。

悪寒と言えばさっきの元就様は怖かった。
なんというか、顔はいつも通りの氷のような面だったのに対し、
雰囲気なのかなんなのか、周りの温度が下がったのではと思うほどの気を感じた。
ああこわかった。
本能的に危険を感じて逃げてしまった。

どうせ後で元就様の機嫌を直して頂くための餅を買おうと思っていた所だ。
丁度いい。今買ってしまおう。

なんの餅がいいか、なんでもいいか。
餅ならなんでもいいってぐらい餅大好きですよね元就様。
先日葛餅を食べている部下を恐ろしい眼差しで見つめているのを目撃しました。

よし、あれだけ食べたがっていたんだ。
葛餅にしよう。

目的が決まればその後の行動は早い。
葛餅を購入し元就様のお部屋の天井に忍びよる。

「元就様ご機嫌いかがでしょうか。葛餅を買ってきました。よろしければ。」

「よこせ。」

よかった。いつもの元就様だ。

「了解しました。」

私はいつものように元就様に葛餅を『投げ渡してしまった』
完全に巻物感覚だった。

ま ず い 。

そう思った時にはもう遅く、元就様に襲い掛かる葛餅。
黒蜜がたっぷりと掛かった、町で評判の一品である。

「元就様申し訳ございません買いなおしてきます今!!直ぐに!!」

ええ、逃げました。逃げましたとも。
今逃げなければ元就様に殺されてしまいます。
まだ元就様に御仕えしたいです。
というか死にたくないです私。

先程の倍買いなおした葛餅を手に、この後の事を必死で考えないように帰城するのであった。

時間よとまれ!

もとなりさま!

やけこげよ!

いやあああああああ!



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