私の主の機嫌が悪い


かすがという忍には申し訳ないが暗殺任務が暗殺任務の標的が被ってしまったので無理やり先に始末させて頂いた。
これも元就様のお役に立つ為。恨まないでほしい。
任務遂行後に合流だなんだと言っていたが
どうせかすがとやらにああだこうだ言われるであろうし、猿なんとかにも何か言われるだろうと推測した。
私は一刻も早く城に戻り元就様に報告をせねばなるまい。
非常に面倒なので勝手に帰らせて頂いた。
これも元就様のお役に立つ為。恨まないでほしい。

城までたどり着いた頃には空が白み始めていた。
きっともう元就様は起きておられるだろう。
元就様のお役にきっと立てたであろうこの任務を一刻も早く報告したい。
元就様に褒められたい。
その一心で全力疾走した。

城に戻り元就様を探せばやはり元就様は庭にて日輪を浴びていた。
元就様にとって至福とも言えるこの時間。
邪魔するのは憚られる
何より庭に出るということは元就様に私の姿を晒さねばなるまい。
とても恥ずかしい。
なので元就様に一番近い部屋の天井に待機し元就様が自室に戻るまで見守ることにした。

「おお……日輪よ……!!!」

日輪を崇めている元就様の表情は恍惚としていて幸せそうである。
一部の者共がこの行為に引いているという噂を耳にした。
照子めは例えどのような趣味でも我が主さえ幸せであればそれでいいのです……!!

そろそろ元就様が自室に戻る頃合いだろう。
天井から元就様を見守りながらお部屋に伺おう。そうだそれがいい。
満足げに歩く元就様を今度は私が恍惚とした顔で眺め、無事に私室に到着した所で私は天井の板を軽く叩いた。

「元就様。任務の報告に参りました。」

「そうか。ならば降りてくるがよい。」

「前も申し上げましたが私は我が主の命ならば先陣を任されようが切腹を言い渡されようが華麗にやってのける自信がありますがそれだけは嫌でございます」

「……チッ」

舌打ちされてしまった。
だがこれだけは譲りたくない。
以前から首から上を(渋々)出してはいるが全身は恥ずかしさで死んでしまうだろう。
羞恥に染まった赤い顔で主の前に出るなど真っ平御免だ。

以前と同じく首から上を出し、件の任務について書かれた巻物を主様に投げ渡した。
主様を眉間にいつもより酷い皺を描き巻物を掴んだ。
よく考えれば思い切り無礼なことをしているが、凄く楽なので主様が脅しにかかるまでこの形で行こうと思う。

「任務の件はようやったわ。褒めてやる。降りてこい。」

主様が褒めて下さるなど滅多にない事。しかし降りるとなると話は別だ。

「お褒めにに預かり光栄です。照子めにはその言葉だけで十分でございます」

と泣く泣く辞退した。
この言葉だけでも十分幸せなことであると自分を説得した。
報告書類の続きを見た主様は深い眉間の皺の溝をさらに深めこういった。

「時に照子。この遭遇した二人の忍とはなんぞ。詳しく我に説明せよ。」

まさかそんなことを主様が気にするとは思わなかった。
思わなかったからこそ、詳細を書かなかったというか確実に話がややこしくなるから省いたのだが。
しょうがないので迷彩柄の猿飛佐助とか言う男と金髪のかすがとかいうくのいちとの行動を報告した。
ついでに所属軍を聞かれた時に偽装したことも伝えておいた。

「そうか。忍など遭遇した瞬間に息の根を止めてくれば良かったものを。チッ」

また舌打ちされてしまった。
戦闘で任務に支障が出るといけないと思い任務を最優先にしたのが裏目に出てしまったようだ。
まああいつらを利用すれば容易に任務遂行できると楽したがったのも本音だが。
今日の主様は何故か知らんがやたらと機嫌が悪いな。後で餅を買ってきて献上することにしよう。

原因究明できません

そういえば機嫌が急降下したのは自分があの二人に長曾我部の忍だと偽装したことを報告した時からだ。
複雑な顔をしてらした。


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