他国の忍が絡んで来て鬱陶しい


それは、任務に向かう時の事。
とある領主の暗殺任務を我が主から直々に請け負った。
月の出ない今夜、その領主が住まう城に向かいつつ
前もって下見をしておいた暗殺の方法やその後の逃走経路を再度頭の中で事細かに再確認していた。
丁度城が見えてきたその時。

「部下を連れてこなくて正解だった。」

苦無が飛んできたのだ。

「あはー。それってどういう意味で?」

橙色の髪を持った奇妙な忍と、金色の髪を持った露出度の高い忍に遭遇した。
特徴から察するに、こいつらはかの有名な猿飛佐助と、かすがとか言う奴らだろう。
この場に部下がいれば瞬殺されていたかもしれない。
こいつらの戦功は度々部下が報告してくる程だから。
そして恥ずかしい。
照子は万が一にも口布がずれないよう意識していた。
しかしなぜだろう。同じ忍であるというのが恥ずかしいと思ってしまうくらい忍んでいない。
とどこかずれたことを考えつつ照子は苦無を構えた。

「ねぇねぇ。こんなに夜遅くにどこに行くのかな?」

「…………。」

「だんまりー?教えてくれてもいいじゃーん」

「…………。」

「何か言ったらどうなのだ。」

「…………。」

なんだこいつらは。
まるでその辺のごろつきが町娘にちょっかいをかけているかのようだ。
此奴らとかかわるのは面倒臭そうだ。
そう照子は判断した。
一刻も早く任務を終わらせて早く我が主の顔が見たい。
というか恥ずかしい。恥ずかしいから喋るのも億劫である。
察してくれ。無理だろうが。
その一心で、ため息を吐きつつ照子は牽制の意味で苦無を放った。

「うっわ!ちょっと酷くない?俺様ちょっと話しかけだだけじゃん!!」

「私は忙しい。」

「俺様達の話聞くだけ聞いてってくんない?」

「貴様達の相手をしている暇などない。」

「ちょっと行かないでよ!あんたにとっても損はない話だって!」

「即刻私の視界の範囲内から消え去れ。」

照子のいらつきは頂点に達しそうだった。羞恥心も頂点に達しそうだった。

「ねーかすが。なんか取りつく島もないんだけど。」

「フン。おいお前。お前が用があるのはあの城だろう?私達もそこに用がある。」

「敵の敵は味方ってよく言うでしょ?俺達協力しない?ってね。」

「私の用は私一人で十分だ。」

「まあまあ。俺様達もそう思って今日ここに来たんだけどねー…。」

「恐らくお前達も以前からここを下見していただろう。偶然上杉と武田も同時期に忍びこんでいた。
流石に気づいたんだろうな。違和感に。」

「それで今日来てみたら警備が凄い事になってたんだよねー俺様びっくり。」

今日まで部下に城を張らせていたがそんな報告は来ていない。
使えない部下共め。

「それでさっきかすがとあって作戦練り直してるわけ。
だから協力しない?」

一人でも出来ないことはないだろう。
しかしこいつらを利用すれば格段にやりやすい。
裏切り等を頭に置いておけばいざという時も対処しやすいし
目的が被ろうと、私が領主の暗殺をすればいいだけなのだから。

照子は本日二度目の重く深いため息をつきこういった。

「詳細を話せ。話はそれからだ。」


トリプルブッキング発生

あの木の影から話を聞いてやろう。



back




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -