私は毎日忙しい


私の朝は元就様の寝顔を見守ることから始まる。
元就様の朝は非常に早いので深夜日が昇る前に天井裏の板を外しそこから美しい元就様の顔を拝見する。
既に私は元就様の寝顔でその日の体調がわかる程度の能力を身に着けた。
本日の元就様はきっと調子が良いのだろう。

その後起床した元就様が日輪を参拝する様を見守り、頃合いを見て女中に食事の用意を頼みに行く。
日輪参拝の時間を邪魔されると元就様は非常に機嫌が悪くなるのでその辺の見極めは身慎重に行っていく。

用意された食事を元就様が来る前にばれないように毒見し、元就様の嫌いなものを取り除いておく。
殿様に出されるだけあっていつも美味しい食事だと思う。
ただ少し今日はよろしくない香辛料が入っているので怪しい女中をしばいておこうとおもう。

元就様は食後の甘味やお餅が出ると非常に機嫌をよくするのだ。
なので大体の食事にはそのどちらかが入っているのだが今日は諸事情で甘味がないため不機嫌そうである。

その後は基本的に食事風景や政務の様子を見守り、時に手伝う。
今日は特に苛ついているようで字も荒れているし忍使いも非常に粗い。
部下の忍が甘味を買ってくるついでに暗殺をと命じられていた。

逆です元就様。

かくいうわたしも同じようなことを命じられていた。

夕方、湯浴みは覗くのがばれると怒られる、いや直視できないし、以前鼻血が垂れて不覚を取り湯を桜色にしてしまったので男の忍に泣く泣く託した。

夕餉は普段の食事とは別に忍共に買ってこさせた甘味に囲まれて幸せそうな元就様がいた。
しかしこのまま食べさせていては美しい元就様の体系を維持することが出来なくなってしまうだろうと考え、非常に心苦しいが半分ほど甘味を失敬した。
決して美味しそうな黄金の輝きを放つ黄粉餅に心惹かれたわけではないと言っておく。
しかしまあ腐らせるのももったいない。美味しく頂いた。

蝋燭の明かりを頼りに本を読みつつ寝に入る元就様を見守り、寝入ったことを確認して明かりを消し、布団を掛けた。
その後存分に元就様の寝顔を堪能し、城の見回りを終わらせてまた元就様の部屋の天井裏に戻る。

その毎日の繰り返しが、私にとっては幸せなことなのである。

ストーカー?いえいえ護衛です!


(忍殿はいつ寝ておられるんだろうか)



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忍さんのストーカー生活を少し。
10000hitありがとうございました!


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