赤司君と友達
「なあ速水いい加減うんとかすんとか言えよな……」
あれ程友達を欲しがっていた私だがこの頃になると後々面倒だからと事務的な会話以外の一切を無視していた。
だから冷たい奴だとも変な奴だとも思われていた。
私にはいつも通り赤司君さえいたらよかったのだ。
思えばそう思うことで現実から目をそらして自分を守っていたのかもしれない。
いつだったかの日直の仕事でこの青峰とかいう男と同じ組み合わせになった。
あろうことかこいつは仕事を忘れていて結果的にサボった。
後から思い出して教室に来た時にはすでに私が仕事を終わらせたところだった。
それから二、三会話をして帰った。
たったそれだけの関わりでなぜか幾度もまとわりつかれている。
青峰のおかげで少し、ほんの少しだけ居心地がよくなっただなんて口が裂けても言えない
「なあ。ノート貸してくんね?昨日宿題やんの忘れた」
御礼にノートくらいいくらでも貸してあげる。完全に青峰に絆されてた私はその言葉を飲み込んで、
「昨日マイちゃんの写真集の発売日だったからつい」
数学のノートを青峰にたたきつけた。
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