赤司君と図書室


あれから私は本を読んで過ごすようになった。
私は暇な時間から逃れるために大好きな活字の世界へと逃げ込んで行ったのである。

いつしか征十郎君はことあるごとに

「照子ちゃんは僕以外の子と遊んじゃだめ!」

と繰り返し告げるようになった。それに対して

「わかったよ征十郎君」

と答えてしまうあたり、私は流されやすいのかそれとも征十郎君にあまいのか。いや、きっと面倒事を避けたいだけなのだ。
既に面倒な事になっているかもしれないが過ぎてしまったことは仕方のないこと。これ以上面倒事が絡んでくるのは遠慮したいのだ。
今や幼稚園の時を再現するかのように小学校を掌握してしまった征十郎君に逆らえる小学生はいないのだろう。
征十郎君が何をしたのか知らないが、教師でさえ私が征十郎君に執着されている生徒だと気づくや否や腫れ物にでも触るような扱いで私をスルーしている。
私がぼっちでいようが当然スルーだし授業中に本を読んでいようが寝ていようが私に全く関わって来ないので私は丸一日本を読んで過ごすようになった。
一週間程そうして過ごした私はふと気づいた。

全く征十郎君の元へ顔を出していないのだ。

いつもは休み時間征十郎君に私が会いに行くのが常だが、あまりに本に没頭してしまった私は徐々に征十郎君に会いに行かなくなってしまったのだ。
いつもなら一週間も立っていれば向こうの方から顔を出して来るのだがそういうそぶりもない。
また機嫌を損ねたのだろうか。
そう思い、征十郎君のクラスに様子を見に行くと、征十郎君は沢山のクラスメイトに囲まれ楽しそうに談笑していた。

きっともう私がいなくても大丈夫じゃないか?

そう判断し安堵した私はそれからまた一週間活字の世界に没頭したのである。

そして幾日か過ぎたある日、私の学校から図書室が消えた。



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