赤司君と肉体言語


結果から言うと私はぼっちになった。
あの時何も言えなかった私だがやっとできた友人をやすやす手放すわけにはいかない。
小学生女子のコミュニティは抜けたら最後。また新しいグループの子と仲良くなるのはなかなか至難の業なのだ。
そんな面倒なことをするくらいなら、と今以上に征十郎君を優先し、気を使えば、いままで通り過ごせるだろうと。

そうして友人には何も言わずに過ごして来た私だが、ある時急に彼女たちの様子がおかしくなったことに気付いた。
私を見る目がおかしいのだ。
そう。まるで恐ろしいものを見るような。

落とした消しゴムを拾ってあげようとしたら手と手が触れあったときに

「ヒッ!」

という短い悲鳴と共に手を叩かれたし
なんだか喋り方もよそよそしい。

ついにはごめんね!という台詞と共に私とかかわらなくなった様を見る限り十中八九征十郎君が彼女たちに肉体言語という話し合いという手段に出たのだろう。
その証拠に最近征十郎くんの機嫌がすこぶる良い。

やることが小学生のそれではないとか突っ込みたいところは多々あれど。
普通の人なら危機感をバリバリと感じるこの状況でいまいち危機感の薄い私に自分自身が呆れ返るのだった。



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