赤司君と友達


「なんでって……」

「僕言ったよね?しょうこちゃんにはそんなのいらないよって。
友達なんかできたら僕のことほったらかしちゃうでしょって。」

おかしい。何かが根本的におかしいんじゃないか。
そんな疑問が私のなかっで鎌首をもたげた。

「そんなことしないよって言ったじゃない。それに」

「現に休み時間僕と一緒に居てくれなくなったじゃないか!」

征十郎君はそう私の言葉を遮った。
激昂している彼は珍しい。
なにか私は地雷でも踏んでしまったのか。

「でも、征十郎君はお友達たくさんいるでしょう?」

出来るだけ彼をこれ以上刺激しない様にやさしく、ゆっくりと穏やかな声音を意識してそう言った。
すると彼は至極当然のようにこう言った。

「だってしょうこちゃんが私の分まで作ってって言ったんでしょ?
しょうこちゃんのおねがい通りいっぱい作ったよね?しょうこちゃんの分まで!
だからしょうこちゃんの友達はいらないよね?
僕がいれば十分でしょ?」

なんたること。
彼は自分のためでなく私のために友人を作ったのだと。
そんな意味合いの言葉をはっきりと告げた。

「それでもやっぱり私は、」

「ね。僕だけでいいよね?しょうこちゃんがあんな奴らに獲られちゃうなんて、僕嫌だよ。」

底の見えぬ沼のような赤い瞳に私は何故だか逆らい食い下がることができなかった。


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