『真選組の人が友達迎えに来るらしい( ´ ▽ ` )名前たそお出迎えしてあげて☆☆恋しちゃダメだゾ☆☆』


私は見廻組屯所の入り口に立つ。
先ほど市内巡回に行った局長が、公務執行妨害で男を逮捕したらしい。現場にいなかった私には、その男がどのような男かなど見当もつかないが、とにかくその男はひとまず局長の手によって牢に入れられた。しかし、後にその男が真選組の友人だと判明したらしい。つまりは誤認逮捕のようで、釈放手続きと引き取りを兼ねて真選組から人が来る。その迎えと案内を私は頼まれたのだ。相変わらずメールの文面はうざいことこの上ない。

『り』と局長にメールの返信を送る。すると丁度真選組が来たようで、顔をあげると黒い制服が目に入る。私は懐の警察手帳を取り出し、相手に見せる。

「見廻組副長補佐、名字名前です。失礼ですがお名前とお役職をお聞きしても?」
「真選組1番隊隊長、沖田総悟でさァ。このとーり。」

私と同じように警察手帳を見せた沖田総悟と名乗った男は、男と言うより男の子だった。外見から判断すれば、恐らく成人もしていないだろう。だが、彼の噂は聞いたことがある。天才、沖田総悟。彼がその若さにして隊長という役職についているのは、その強さ故なのだという。つまりはうちの副長と似たような人間らしい。

「お待ちしておりました。沖田さん。ご案内しますね」
「どーも」

身元を確認し終え、私は沖田さんを引き連れて屯所に入る。沖田さんは完全アウェイだというのに、少しも緊張する素振りもなく歩く。やはり幼いのは外見だけのようだ。

「面倒なゴミ預けてすいませんね。うちの副長もなにやら粗相しでかしたらしいし」
「え?ゴミ?今ゴミって言いました?ご友人じゃないんですか?」

平然と友人をゴミ呼ばわりするその姿に、さらに思いを強める。この子こわっ。
話によると、局長が容疑者を逮捕した際に、真選組副長となにやら揉めたらしい。局長からの連絡によれば責任は全面的に見廻組にある、とのことらしく、私は珍しいこともあるのだなくらいに思っていたのだが。

「ま、まあ、責任はこちらにあるらしいので…。私からも謝ります。ご迷惑をおかけしたようで、申し訳ありません」
「へえ、こりゃぁ驚いた。見廻組にもあんたみたいに皮肉なしに謝れるやつがいるとは」
「私もご友人をゴミという人間には驚きます」
「あらら」

まあ、私の上司は弟を「アレ」呼ばわりするのだが。あと普通に真選組のこともディスってたな、あの人。彼の場合、おごり高ぶるというより、事実を述べているにすぎないのだろうが。

「旦那には秘密ってことでひとつ頼んまさァ、ただでさえ気が立ってるだろうに」
「旦那…ですか」
「あァ、知らねえか」

沖田さんはそれ以上語らなかった。まあ、初対面の、しかも見廻組の人間相手に世間話をするほどの暇もないということだろう。「旦那」と呼ばれた人間がどのような人間かはわからないが、その言い草から沖田さんとは気安い関係であることはなんとなく予想がついた。警察と仲良く出来る一般人なんて、一体どのような人なんだろうと少し思った。もし、坂田さんがそんな人だったら、見廻組である私とも仲良くしてくれるんだろうかと、無駄なことを考えた。

「私はここまでで。この先に牢がありますので、ご友人の「旦那」さんによろしくお願いします」
「どうも。名字殿も、お勤めご苦労でさァ」
「はい」

私は沖田さんを送り出し、踵を返す。
すると携帯が鳴り、メールの受信を知らせる。携帯を開き、画面を確認すると『お勤めご苦労だお☆」とのメール。足元に影が差し、顔をあげれば局長ご本人が立っていた。局長はメールの返信にはちまちまうるさい。だから私は、何も喋ることなく返信する。

『局長もお疲れ様だおです』
『それ口で言ってよくない?』

オメーもな。とは流石に返信できなかったので、ぺこりとお辞儀をして局長の横を通る。多分、局長は容疑者に用があるのだろう。私の仕事は終わった。

マスタードーナツでも買いに行こうかな。




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