うららかな休日。
職場の制服も脱ぎ捨て、私には可愛すぎるような着物を着て、私の口にはあまり合わない甘いパフェを食べる。眼前には私の恋する男の人。銀髪の天然パーマが綿あめのようでとても可愛くて、目と眉が離れた緊張感のない顔には余裕の表れを感じる。甘いものを食べてる時には幸せそうな顔をしていて、私はその顔を見るたびに胸が高鳴る。

今日も坂田銀時という人はかっこいい。この世でただ一人しかいない、私の好きな人である。

「警察とは反りが合わねぇのよな、俺」

氷点下。
文字の通り、心が氷の点にまで下りたような気分だった。
好きな人と一緒に食べることで好きになり始めた甘いホイップクリームが喉に張り付いた。

「へ、へえ…警察ですか。警察ね。ウン。アレ?警察って何だっけ」
「あの税金泥棒ども。この前だって下手な理由つけて俺を現行犯だとか言いやがって。お巡りさんの心傷つけるくらいなら結野アナのハート射抜くからね」

ほんっと、役人てモンはよお、と項垂れながら坂田さんはパフェの上に乗っていたフルーツを口に運ぶ。私と彼の間に沈黙が流れる。舌鼓を打つ彼は特に気にしていないようだが、私には自分の心臓の音だけが大きく聞こえた。ドクン、ドクン。

「ん?…そういやお前って何の仕事してんだっけ?まさかそのナリで無職ってことはねーだろ」
「エ!?!?」

パリン!!とスプーンがパフェ下層のコーンフレークを突き抜けてガラスの容器を割る。お客様大丈夫ですか?!という店員さんの声が遠い。坂田さんはパフェに夢中で気づいていないようだった。

職業。仕事。稼業。

私は無職ではない。しっかりと毎日仕事に勤めている。社会人としてあるべき姿を果たしている。恥ずべきものでも隠すものでもない。そのはずなのに、なかなか私の喉から出てこようとはしない。喉が渇いているからだろうか。私は手元にあった水を飲み干す。冷たい水は私の喉を潤し、言葉も幾分出やすくなったように感じる。

私は坂田さんの問いに答える。

「オっお花屋さん…ですかね」

私の名前は名字名前。
天下の警察組織、見廻組副長補佐である。




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