一昨日、突然ミクの一人称が"ボク"になった。それがどうしてか、どうにも勘付いて、直接聞いてみた。

「ミク」
「なあにKAITOお兄ちゃん」

くるりと振り返るミクの髪の香りが鼻を擽る。前にマスターが言っていた、そうか、マスターはこの香りにやられたのか。

「どうして最近ボクって言うようになったの?」

するとミクは恥ずかしそうに顔を赤らめえへへと笑いながら言った。

「だって、リンちゃんは、男の子を好きになるでしょう、ボク、男の子になりたいんだ、少しでも、近付きたいの」

予感は的中した。やはりミクは、リンを本気で好きなんだ。

「ボクね、悩んだんだけど、やっぱり、恋愛に性別は関係ないと思うの、だってね、前ネットサーフィンしてたら、お兄ちゃんとレンくんとかって、ほもほもしいサイトもあったりしてね、あ、あんなショタなレンくんはじめて見たなあ、それでね、世の中には百合ってあるんだって、おにゃのことおにゃのこがにゃんにゃんしてるサイトもあって、だからね、いいと思ったの、でも、やっぱりリンちゃんが好きになるのは男の子でしょう、だから、ボクが少しでも男の子に近付いて、リンちゃんの許容範囲内に入れたらなあ、って」

ボクもボクなりに考えたんだ!なんて笑ってるけど、一昨日ミクは目が腫れてた、よね。
ああ、そのうち綺麗な美しい髪さえばっさり切ってしまいそうで、怖くなる。そんなことしたら、マスターがどうなるか知ったこっちゃない。さっきの僕とレンがどうのこうのも気になるけどまずはこっちを、聞いておこう。

「髪は、切ったりしないの?」
「え?うん。マスターがボクの髪好きっていうから、それだけは、しない」

ああ、マスターにこの言葉を聞かせてあげたかった、マスターはミクのことが大好きだから、マスターはミクを本気で好きだから、きっと、マスター、喜ぶだろうなあ。

「だって、マスターのおかげでリンちゃんに会えたんだもん!マスターを裏切るようなことはぜったいできないよっ」









妹は百合族


あくまでリン中心で考えるミクの脳内が何よりマスターを裏切ってるだなんて、世の中難しいね、マスター。



「あ、そだそだ、そのうちKAITOお兄ちゃんも排除するからねッ☆」
(リンちゃんに関わる奴等全員歯ァ食いしばれ♪)


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