一目惚れだった。電脳的な見かけに反したよく通る天使のような歌声、絶対領域の素晴らしいニーハイソックス、スカートから覗く可憐な生足、白い肌を触れば可愛らしい恥じらいを含んだ声を出し、時々スカートをはためかせて見え隠れする縞々パンツ、長い緑髪のツインテールを靡かせると鼻をくすぐるシャンプーの香り、好物とする葱を振り回す仕草、AAAカップだって構わない、寧ろそれがいい、とにかく君、初音ミクは、一瞬で僕の心を凌駕した。



だから僕は君を迷わず購入した、アイドルが僕の元に来てくれるだなんて、高嶺の花だと思っていた君が、僕の側で、僕の歌を歌ってきれる。勿論二次元の世界にいる君の髪の香りなんて嗅いだこともないし購入したって君の肌に触れることさえできないのだけれど、そんなことどうでもよくなる位に全てが愛おしい。
君が二次元にいたって構わない、もう遠い存在だなんて思わない、だって君は二次元から可愛らしい天使の歌声を三次元へ届けてくれる、君は可愛らしい天使の声で僕をマスターと呼ぶ、僕のために歌を歌ってくれる、音楽を知らない僕にとっての初メテノ音は、君だった、よ、君を想って歌を作った、君にとっての初メテノ音が、僕であってくれたように、だから、だから君が二次元であったって構わないん、だ。



それなのに僕は失恋した。
二次元であるという壁なんて関係のない僕が、新たな壁に直面してしまった。僕にとって君が一番であるように、君とって僕が一番であった、はずなのに。

なんでか、って、そんなの、02の登場だ。それも、鏡音レンは問題ではない。KAITOやMEIKOだって、問題ではなかった。
あの時君が言ってくれた「ミク、マスターのお嫁さんになりたい」なんて言葉は、やっぱり僕の妄想だったのかもしれない。今まで本当だと信じてきた言葉さえ疑う、それ程までに、彼女の心に僕はいなかった。ミクに家族をあげよう、そう思って購入した02。‥買わなきゃよかった、なんて今更後悔しても遅い。それに、彼ら02をデリートしてしまったら、僕の最愛のミクは、きっと、僕の元からいなくなる、大好きな歌さえ歌ってくれなくなる、僕のすべてだった君の歌声が聞けなくなる、もう、マスターだなんて、呼んでくれない。
それだけは避けたい、



例え彼女が鏡音リンに恋をしていても。









ネギは百合科


現実と妄想の境目さえ分からなくなってしまうくらい大好きな君は、やっぱり高嶺の花だった。

(だって彼女は百合族だから!)






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