stratocaster






ストラトキャスター。
アカイトから貰ったギターだ。無名ブランドの安物らしいけど、音さえ出れば関係ない。黄色くて、リンみたいなギター。家に帰ってからもずーっと弾いた。とりあえずアカイトの家からテキトーにとってきたスコアブックを見ながら弾いてみる。しかし楽譜は総無視だ、コードを見ながらアカイトに教わった三本の指をポジションにセットして、ひたすら弾くだけ。でも、どんどん弾けるようになってくのだ。初めは音さえ上手く出なかった。音が出たと思えば余計な音を鳴らしてアカイトに酷く怒られた。しかし、ゆっくりではあるがコードの切り替えも出来てきたし、破れた指はヒリヒリと痛むのに、楽しい。
気付けば深夜になっていた。寝る支度をして布団に潜り込む。けれどなんだか寝れなくて、壁に立てかけたギターを見つめた。真っ暗闇の中差し込んだ、小さな光が映り込み、黄色のボディがキラリと光る。リンみたいだ。オレの真っ暗闇の世界、キラリと照らしてくれたのは君だった。
‥‥明日、リンを家に呼んでみよう。ギター見たらあいつ、喜んでくれるかな。にやけながら再びベッドに潜る、明日が楽しみで仕方なかった。
リン、オレ、毎日楽しいよ。
リンが来るまで、こんな気持ち感じたことなかった。きっとリンがいなかったら、ギターに興味を持つこともなかったし、こんなに楽しいって思うこともなかったと思う。リンと話すのはすごく楽しい、リンが笑うとすごく嬉しい、リン、リン、リン。リンがいるから、こんなに全てがキラキラ光るんだよ。


待ちに待った次の日、帰りにリンが家に来た。
ギターを見たリンは、やっぱり嬉しそうに笑って、何度も何時も催促され、ずっとずっと弾かされた。リンの歌う歌のコードを見ながら、ゆっくりゆっくり合わせると、へたくそだけど、一つの曲になる。リンは「すごい、すごい」と幾度となく繰り返した。まだまだ下手なオレのギターを幸せそうに聞きながら、リンは鞄から一枚の紙を取り出した。

「ねえレン、これ出ようよ!」

オレを動かすのは、いつもキミなんだ。







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