Because there is a song there






「で。アカイト、ギター教えて」
「めんどい」
「まあ、そう言わずに」
「まず、三本の指を用意します。コードに沿って弦をおさえましょう因みにAからラな、ラんとこ指セットーはい、そうそうここがラね、音聞いて分かんねーのかよおまえ音楽だめだなセンスないんじゃねえのやめたら?まあいいけど大体そのギターチューニングしてねーし。そんで薬指と小指つかって、待っ、違うわバカ、こことここだよ、うん、それがパワーコードの形ね、大体これで何でも弾けるから、はいちょっと弾いてみ、うん、おま、音鳴ってない汚いばかやろうふざけんな下手クソはいじゃあもう一回Aー、」
粋なり始まる説明に慌てながらも、オレは真剣にギターと向き合った。リンと、リンの歌に合わせて音楽をする、そう思ったら指の痛さなんて感じなかった。それよりドキドキする、リンの歌に合わせてオレがギターを弾くところを、思い描いてしまうからだ、そんなのいわゆる、妄想なのだけど、もっとこう、なんか、うん、楽しいんだ、だって、ちゃんと音になる。カスカスな音しか出ないし、弦をなかなかおさえられないし、何の音かとか全然分かんない、けど、それでもちゃんと、音になる。それが、楽しかった。
アカイトは酷い位の暴言を入れながらも、ちゃんと教えてくれた。オレは、アカイトのこういうとこが好きだ。口は悪いけど、ほんとは誰より面倒見がいい。小一時間ずっと付き合ってくれた。
オレの指先が破れて限界を迎えたころ、アカイトは、ずっと気になってたんだけど、と口を開いた。
「なんでいきなりギターやろうと思ったんだ?」
ごもっともな問いである。オレはあまりにも無関心なヤツだったから。でも、変わったんだオレ、リンに出会って、色んなことが楽しくなったんだ。そうだ、だって、オレのそばにはいつも
「‥‥そこに歌があるから」
「ばーか」
アカイトは笑ってバカにしたけど、それはあながち、間違ってないんだ。






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