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駆け落ちいちごジャム 3


「なっ、何言ってんの竜崎…!」


「何言ってんのじゃないです。
私は貴女に正直で居てくださいと言いました。
貴女の正直な気持ち、教えて下さい。」


まったく彼は
自分勝手で自己中心的で、
自分の欲望にだけはとっても正直。
仕事中恋人に会えないから駆け落ちですって?
自分の思い通りにならないからって
家出を決行する小学生と同じレベルだわ…けど。


「嬉しいよ、竜崎…」


私がそう言って
夜神局長に気づかれないように
そっと竜崎の小指と自分の小指を繋ぐと
竜崎はそれを堂々と恋人繋ぎに変えた。


「では、そういうわけですので夜神さん。
失礼します。」


「おっ、おいちょっと待て…!おい!!!」





私とエルは走った。
恋人繋ぎのまんま、捜査本部を抜け出して、
人の混みをすり抜けてどこまでも走った。


「うふふ、あはははっ!逃げちゃった!
楽しいね、エル!!」


「ふふっ、そうですね…
あともう少しです、頑張りましょう。」


そう言いながらエルは
絡み合った指ごと私を導いてくれた。

今までにないくらい、正直に笑った気がする。
罪悪感や背徳感が全くないわけじゃない、
けどそんなこと今は考えなくていいような、
ただ自分の「ずっと幸せに浸っていたい」
という欲のままに大好きな人と走っている。


細い路地を通り抜け広い道路に出ると
見慣れた黒のリムジンが止まっていた。



「ワタリさん!」


「竜崎、真幸さん、お待ちしていました。
さぁどうぞ」


ここまで来たらもうわくわくが止まらない。
ワタリさんまで駆け落ち計画に丸め込んでたなんて。


「エル、ありがとう…」


自分の欲に正直になって、
ワタリさんの前でおかまいなしにキスをする。

するとエルから濃厚なキスが帰ってきた。


「正直になれたご褒美です…
ここまで来ればもう安全でしょう。
私はLなのでもちろん本当の駆け落ちは無理ですが…
このまま旅行にでも行って、
真幸の捜査本部への出入りを
認めなければ帰らないとでも言って
捜査本部の皆さんへの見せしめにでもなればいいいんです。」


綺麗に笑うエルを見て、
正直になってよかったと思った。
欲に正直なエルは
どこまでも自由で自分勝手だけれど、
悪いことばかりじゃないのね。
それはとっても素敵なこと。


「十分すぎるくらい素敵よ…
本当にありがとう、エル。」


「さて、どこに行きますか。」


「…イギリス。
エルの住んでたとこに行きたい。」


「…いいかもしれませんね。
ワタリ、空港までお願いします。」


「かしこまりました。」




ふふっエル。私嬉しくって、
エルが欲しくなっちゃった。

…誘ってるんですか?
私は構いませんが、
ワタリが見てますよ。

そうだね、
恥ずかしいからやめとく!

…可愛い人ですね。

わわっ、ちょっとエルー!

正直になってみました。



















20130109
正直になること。と、あと
駆け落ちが書きたかった。
次のページにおまけで後日談あります




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