高校に入学して間もない頃、私は3年生の人に絡まれてしまった。

「へぇー君新入生?結構可愛いじゃん」

茶色のリーゼントの人は私を壁側へ追いやりニヤニヤと笑いながら話しかけてくる。


怖い。


恐怖に支配され涙が浮かぶ。私はただ俯き黙ってることしか出来なかった。
そんな時怖い顔をした先輩がもう一人近づく。
その顔を見た瞬間目の前にいるリーゼントの先輩は青くした。

「げ、マルコ!!そんな怖い顔して近づくなよ・・・・この子が怖がってんだろ!」
「怖がってるも何も、サッチ!お前ちょっとは自重しろよい!!!」
「はぁ?何でだよ!?こんな可愛い子が目の前にいるのにナンパしなっ」

鈍い音が耳に入る。リーゼントの先輩はお腹を抱え「痛ぇ」と嘆いていた。一瞬のことで何があったのかわからない。
もう一人のパイナップルのような髪型の先輩は私を視界に捉え頭を下げた。

「すまねぇ・・・・こいつはナンパ癖があってよい」

呆れ顔で言うともう一発拳を入れる。
ああ、痛そう・・・・そんな事を思っているとニッコリと笑う先輩。
その笑顔を眩しくて、また俯いてしまう。

「すまねぇよい」

また謝り今度は頭を撫でられた。先輩の大きな手にドキドキと鼓動を早める心臓。うるさくてたまらない。
視線を上げると絡み合う眼差しにまた心臓が早まった。


この日、初めて恋をした。


それから廊下をすれ違うたびに話しかけてくるマルコ先輩とサッチ先輩。
月日を重ね、募る想いは増していくと同時に卒業が間近に迫る。
私はどうしたいのか。答えはただ一つ。


3月上旬


卒業式当日。

廊下の向こうに見つけた背中

私は自分の想いを言葉にした。



(先輩!私、先輩のことずっと好きでした)
(・・・・知ってるよい)
(え!!!????)
(見てりゃ分かるんだい。俺もマオの事が好きだから)


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