あなたはこんな時どうしますか?
お世辞でも綺麗とは言えないアパートの自宅に知らない長身の整った顔立ちのオジさんが自分の部屋にいたら。
私はただ口を開けぼーっと立ってるしか出来なかった。
本当に最初は戸惑った。
泥棒、ストーカーそんな類だと思っていた。
けど彼は逃げる様子もなく焦っていると言うよりも困っているそんな表情をしていた。
そして発せられた言葉。

「ここはどこだい?」

独特な顔、語尾の「〜よい」。彼は某少年漫画に登場するキャラの一人。
これは世に言う逆トリップってやつですか?


彼・・・・いや、マルコがこちらの世界に来てから約1週間経った。
私とマルコは何だかんだで意気投合し、今では何でも話せる仲までに進展した。

「今日は俺が飯作るよい」
『やったぁ!!私、オムライス食べたい』
「よい」

慣れた手つきで台所に立つマルコの姿に綻ぶ頬。
やっぱり男の人が料理できると格好良い。心の中で呟く。
ふと、マルコが包丁を持つ手を止め俯く。
指でも切ってしまったのだろうか心配になり傍によると、薄くなっていくマルコの手が目に入った。

「マオ・・・・俺はそろそろあっちの世界に帰るみたいだねぃ」
『見れば分かる・・・・・』

これで、マルコともお別れか。
そう思うと目頭が熱くなり頬をつたう雫。
どうして泣いているの分からない。
胸が熱くて痛くて。溢れ出る涙は偽れない。

『(そっか、私マルコの事・・・・・好きなんだ)』
「マオ」

髪に触れ自分の胸に私を寄せる。背中に回された腕が心地よくてたまらない。
ずっとこのままでいれたら、どれだけ幸せだろうか。

「マオ」

声のする方へ顔を向けると、マルコの端正な顔が視界いっぱいに広がる。
唇に伝わる柔らかな感触と熱。
触れるだけのキスと最後に発した言葉。

さよならのキスを

(俺は"さよなら"なんかいわねぇよい)
(また、いつかきっと会えるよね)



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